休職してきたけど、退職することにした。
そんなとき、できるだけ有利な条件で退職したいですよね。
特に次の3つについては気になると思います。
・失業保険
・傷病手当金
・社会保険
ここでは、休職から退職へ移行する際に社会保険はどうなるのか、失業保険は受けられるのか、そして傷病手当をもらうことができるのかについて解説してゆきます。
休職から退職 失業保険は受けられるのか ?
それではまず、休職してそのまま退職に至った場合の失業保険について確認しておきましょう。
働ける状態で働く意思のあるとき
失業保険(正しくは「雇用保険の基本手当」。「失業手当」とか「失業給付金」とも言われます)は働くことが可能で、その意思があることが前提です。
ですから、休職が病気やケガでなく、別な理由で、退職はしたけれど働きたい場合は申請可能です。
ただし、休職期間中に、あるいは休職期間が終わって退職した場合は「自己都合」となりますから、失業保険を申請してもすぐにもらえる分けではありません。
会社都合や、やむを得ない事情がある場合は7日間の待機期間が終われば失業保険を受給できます。
でも、自己都合の場合は7日間の待機期間のあと、2ヵ月の給付制限期間がありますから、支給されるのは3ヵ月目からとなります。
自己都合で退職した場合の失業保険の受給資格は次のとおりです。
・離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること
・離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること
失業保険の受給期間や金額など、詳しいことはこちらにまとめてありますのでご参照くださいね。
働けないとき
一方、休職が病気やケガでそもそも働けない場合は、失業保険の申請をしても受理されません。
その場合は傷病手当金を受けられる可能性があります。
休職してから退職 傷病手当金は受けられるのか ?
休職が病気やケガで休職して、そのまま退職に至った場合は、傷病手当金を申請しましょう。
傷病手当金は、健康保険の制度で、受給の条件は次の通りです。
傷病手当金の受給条件
①病気やケガの原因が仕事以外であること
②働けないこと
③連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
④休んでいる間に会社から給与の支払いがないこと
病気やケガの原因が仕事にある場合は、傷病手当金ではなく、「労災」の対象となります。
退職後の申請は ?
また、休職中に受給していた場合は次の条件がそろえば退職後も延長できます。
①健康保険の被保険者期間が資格喪失日(つまり退職の前日)までに1年以上継続していること
②退職日までに受けていた傷病手当金の期間が支給開始日から1年6ヵ月未満であること
③退職日に労務に服していないこと
退職後にはじめて申請する場合は次の条件が必要です。
退職日を含んだ在職最後の4日間会社を休んでいること
これは待機期間が3日間あるからです。
最後の4日間の休みは土日などの公休日や有休であってもかまいません。
1日でも出勤すると、退職後に傷病手当金を申請しても受理されませんのでご注意ください。
なお、傷病手当金は支給日から通算して 1年月6ヵ月受けることができます。
詳しくはこちらをご参照ください。
傷病手当金は退職してももらえる ? 遡っての申請はできるか ?
紛らわしいですが、雇用保険にも似た名前の「傷病手当」というものがあります。
こちらは、失業保険の受注資格のある人が、求職の申し込みの後で病気や怪我で働けなくなったときに申請できる制度です。
退職したら社会保険はどうなる
退職した後は、社会保険はこれまで入っていた健康保険組合または協会けんぽを任意継続するか国民健康保険に加入します。
扶養家族がいる場合は任意継続の方が圧倒的に安いですよ。
国民健康保険には「扶養」の概念はありませんから、人数分の保険料がかかります。
退職する月は2倍徴収される
注意しなければいけないことは、社会保険料は、退職する月にこれまでの2倍徴収されるということです。
理由は、健康保険料も厚生年金保険料も翌月徴収だからです。
しかも健康保険を任意継続した場合は、退職した後はこれまで会社が折半で払っていた分も自分で支払う必要があります。
厚生年金保険には「任意継続」はありませんから、国民年金の加入手続きをして自分で支払わなければいけません。
なお、月末ではなく月の途中で退職するとその月の社会保険料は徴収されませんから1ヵ月分だけの徴収となります。
その代わり、退職月に国民健康保険と国民年金に加入して保険料を払わなくてはなりません。
つまり、保険料を払わなくても良い月はないということです。
休職期間はいつまで
気を付けなくてはいけないことは、自分はどれくらいの間休職できるのかということです。
休職期間は法律で決まっているものではありません。
会社の就業規則で休職制度を設けていれば規則に従うことになります。
休職できる期間は就業規則で確認しておくと良いです。
たいていの会社では勤続年数によって休職できる期間が変わります。
一例をあげておきますね。
休職発令時の勤続年数 | 休職期間 |
1年未満 | 1ヶ月 |
1年以上5年未満 | 3ヶ月 |
5年以上10年未満 | 6ヶ月 |
10年以上 | 12ヶ月 |
上の表はあくまで「一例」で、会社ごとに就業規則などで定められるものです。
休職期間はたいてい無給ですから、休職が長引きそうな場合は、初めに有給休暇を消化した方が良いですよ。
おわりに
いかがでしたか ?
休職した後、そのまま退職する場合の期になる3つについてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
退職後の生活が少しでも楽になるように、活用できるものはすべて活用しましょう。
最後までお読みくださって有難うございました。