失業中はたいていの場合、時間があります。
なので、資格取得にはもってこいのチャンス。
資格取得にチャレンジすることで、失業中の生活にハリを持たせる効果もありますから、おすすめしたいところです。
なかでも、ハローワークが主催している職業訓練(正式には「公共職業訓練」)は、失業者にとってメリットの多い制度です。
ここでは、失業中に資格取得ができる、職業訓練のメリットと申込の手順についてお伝えしています。
なお、職業訓練と似たものに「教育訓練給付」と「求職者支援制度」がありますが、別な制度です。
それぞれ別記事で詳しく説明していますので、あわせてどうぞ。
教育訓練給付についてはこちら。
教育訓練給付と失業手当は併用できる ? 職業訓練と比べたら ?
求職者支援制度についてはこちらで説明しています。
失業保険がもらえない ! でも求職者支援制度の給付金がある !
公共職業訓練のメリットは4つ
公共職業訓練には次の4つのメリットがあります。
・無料で受講できる
・失業保険を受給しながら受けられる
・受講期間中、失業保険の受給期間が延長される
・自己都合で退職した場合の受給制限が解除される
順に見てゆきましょう。
公共職業訓練は無料
基本的に失業中の人にできるだけ負担をかけないように、無料で受講できます。
でもコースによっては有料のものもありますから、選ぶときにご確認くださいね。
あと、テキスト代は有料ですよ。
失業保険を受給しながら受けられる
公共職業訓練の最大のメリットは何といっても失業保険を受給しながら受けられることでしょう。
失業保険は、働いていた時の45%~80%の額がもらえますから、訓練を受けている間の生活費の助けになります。
失業保険は具体的にどれくらいの額をもらえるかは、こちらをご参照下さい。
失業保険の受給期間が延長される
公共職業訓練を受講中は、失業保険を受けられることは既に説明しましたが、なんと、受給期間が延長されてしまうんです。
二重に嬉しい制度ですよね。
たとえば3ヵ月間の職業訓練コースを受講して卒業すると、失業保険をもらえる期間が3ヵ月間延長されるということです。
自己都合で退職した場合の受給制限が解除される
そして、自己都合退職者にとってたいへん有難いのは、公共職業訓練を受講すると、3ヵ月間の受給制限が解除されるということ。
通常、自己都合退職した人は、7間の待機期間のあと、さらに3ヵ月間の受給制限期間が設けられていて、その間は失業保険を受けることができません。
ところが、公共職業訓練を受講するとこの受給制限が解除されて、すぐに失業保険をもらうことができるのです。
これも有難いですね。
公共職業訓練を受ける資格
公共職業訓練を受けるには、次の3つの条件を満たしている必要があります。
・ハローワークに求職の申込みをしていること
・過去1年以内に公共職業訓練を受けていないこと
・雇用保険の受給資格があること
少し補足しますね。
ハローワークに求職の申込みをしていること
公共職業訓練は、ハローワークの求職者支援制度のひとつですから、ハローワークに求職の申し込みをしていることが大前提です。
まあ、当然ではありますけど・・・。
過去1年以内に公共職業訓練を受けていないこと
失業保険の受給期間延長を目的とした人ではなく、真剣に就職を希望している人をサポートするのが目的なので、頻繁に受講することはできないのです。
ハローワークとしては、公共職業訓練を受講して資格を取ったらできるだけ早く就職してもらいたいわけです。
なので、職業訓練を受けて無事卒業したら、休職活動をしてもらうために、続けての訓練を受けさせないのです。
失業保険の残日数
職業訓練の受講を申し込むタイミングとして、失業保険の所定給付日数の残日数が気になりますね。
明確な制限は見当たりませんが、一般的に残日数多い方が有利になります。
残日数が少なくなってから職業訓練の受講を申し込むと、失業保険の受給期間延長が目的と取られかねないからです。
ただし、残日数が少ないと絶対ダメということではなく、ハローワークで個別に判断されるようです。
もし、あなたが職業訓練の受講したいけど失業保険の残日数が少ないのなら、ハローワークに相談してみて下さい。
求職活動に専念していたため受講申し込みのタイミングを逸してしまったとか、事情を説明してハローワークの納得を得られれば受講が認められますよ。
雇用保険の受給資格があること
「雇用保険の受給資格があること」とは、「雇用保険受給資格者証」を持っているといことです。
実際に失業保険を受けていなければ公共職業訓練を受けることができないということではありません。
このことは、すでに公共職業訓練のメリットのところでお伝えしましたね。
自己都合で会社を辞めて、まだ「受給制限中」の場合でも、公共職業訓練を受けることで、受給制限が解除されます。
ですから、申込みの時点では失業保険をもらっていなくてもOKなんです。
雇用保険の受給資格がない場合
「公共職業訓練」は、失業保険を受給している求職者を主な対象とした制度ですが、失業保険を受給できない求職者を対象とした「求職者支援訓練」という制度があります。
冒頭でもご紹介しましたが、こちらの記事に詳しくまとめてあります。
失業保険がもらえない ! でも求職者支援制度の給付金がある !
公共職業訓練の申込み方法
じつは、職業訓練の申込は少し手間がかかります。
「ハローワークに行って申込をするだけ」というわけにはいきません。
その前に求職活動をすすめられたり、職業訓練の説明会や見学という過程をへて、初めて申込ができるのです。
その日のうちに申し込みができるわけではありませんので、覚えておいてくださいね。
ハローワークは基本的に一人でも多くの失業者を就職させることが役割です。
なので、就職のためには職業訓練が本当に必要かどうかを確かめた上でないと申込をさせてもらえないのです。
また、職業訓練を希望すると、必ず「本気度」を確認されます。
この確認は、意外とハードルが高いです。
職業訓練にはコースごとに「定員」があります。
そのため、失業保険の期間を延ばすことが目的とか、何となく「資格でも取っておこう」くらいの人はお断りして、切実に職業訓練を必要としている人に限定するために受講のハードルを高くしているのです。
そこで、あらかじめハローワークのホームページなどで自分の受けたい訓練を決めて、かつその訓練をどうしても受けたい理由を説明できるように考えておくことを強くおすすめします。
たとえば、こんな感じで説明すると良いです。
「自分はこれまで、伝票入力などの経理の補助的な仕事をやってきました。」
「でも経理を基礎から学んだことはなく、いまの状態では経理職として応募しても採用される自信がありません。」
「ですから、再就職のためにぜひとも簿記の資格を身につけたいと考えています。このコースの受講を申し込みたいので、宜しくお願いします。」
ここで、一連の申込手順をまとめておきますね。
(1) ハローワークのホームページで自分の受けたい訓練を決める
(2) ハローワークの受付で「職業訓練を受けたい」旨を伝える
(3) 担当窓口で「受けたい分野」と「受けたい理由」を伝える
ここで理由を説明できないと、なかなか受講させてもらえません。
上で述べたように、その訓練が自分にどうしても必要である理由を予め用意しておきます。
(4) ハローワークが主催する「職業訓練の説明会」への参加を指示される
(5) 続いて、希望する職業訓練を実施する職業訓練校に見学に行く
(6) 申込書を提出する
ここまでやって、ハローワークが「訓練を受けたい」という希望を認めると、ようやく「申込書」を訓練実施校に提出することができます。
もう少しです。
(7) 選考試験を受ける
職業訓練は、応募したら必ず受講できるわけではありません。
選考試験があります。
そして、選考方法は、職業訓練校によって異なります。
次の3パターンがあります。
・書類審査のみ
・筆記試験あり
・面接あり
(8) 審査結果が通知される
審査結果は概ね1週間以上かかるところが多いようです。
おそくとも、開講の10日くらい前には結果が出ますよ。
受講できるまでの道のり、長いですがあきらめないで !
おわりに
いかがでしたか ?
失業中に資格取得ができる、ハローワークの職業訓練には大きなメリットがあること、また、申し込みの手順についてもお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
申し込みをするまで、また、申し込んでから選考があるなど、実際の受講開始まで時間がかかることも、お分かり頂けたと思います。
場合によっては数ヵ月を要することもありますから、思い立ったら早く行動されることをおすすめします。
最後に資格取得について注意すべきことを付け加えておきます。
それは、キャリアに関係のない資格をいろいろ取っても、再就職の応募先では評価されないということです。
応募する職種と関係ない資格は、あえて履歴書には書かないほうがよいですよ。
応募した職種では評価されないだけでなく、単なる資格マニアと思われたり、ひまなヤツと思われる可能性がありますから。
あなたが、資格取得によって就職活動を有利に進められますように !
最後までお読みくださってありがとうございました。