障害年金と遺族年金は両方を同時にもらえるでしょうか ?
つまり、障害年金をもらっている人の夫(配偶者)が亡くなったら遺族年金ももらえるのか ?
これまで扶養されていた人(被扶養者)にとって、扶養してくれていた人(扶養者)が亡くなってしまったら心細いだけでなく、生活費が確保できるか切実な問題ですよね。
ここでは、障害年金と遺族年金の両方を同時にもらえるかについて、年齢による違いを含めて詳しく解説しています。
初めに遺族年金とはどんなものかざっと触れておきましょう。
遺族年金には2つの種類がある
一口に「遺族年金」と言いますが、実は遺族年金には次の2つの種類があります。
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
順にご説明します。
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金は子供を養育するための年金です。
18歳未満子供がいることと、遺族の前年の収入が850万円未満であることが受給の条件です。
亡くなった配偶者が会社勤めをしていても、あるいは自営業でも上の条件を満たせば遺族がもらうことができます。
遺族厚生年金とは
それに対して遺族厚生年金は、文字通り遺族、つまり配偶者や子、孫のための年金です。
18歳未満の子供がいなくてももらうことができます。
ただし、亡くなった方が会社勤めをしていた場合で、かつ老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある場合に限られます。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の詳しい受給条件や受給額についてはこちらにまとめてありますのでご参照ください。
ではいよいよ障害年金と遺族年金は両方同時にもらえるかについて解説しますね。
障害年金と遺族年金は同時にもらえるか ?
年金の同時受給は分かりにくいですが、原則があります。
1人1年金です。
つまり、原則としては複数年金の同時受給はできないこととなっているのです。
受け取れる年金は1種類
1人1年金の原則にのっとって、受け取れるのは次の3つの中から1つだけとなります。
・老齢年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
・障害年金(障害基礎年金+障害厚生年金)
・遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金)
ところが、1人1年金の原則には年齢による例外があります。
65歳以上は例外
65歳以上になると、次の組み合わせで複数の年金を受け取ることができるようになるのです。
これを「併給」と言います。
65歳以上で障害年金をもらっている人の扶養者、つまり生計を維持してくれていた人が亡くなった場合、あるいは障害年金と遺族年金をもらっている人か65歳になったら、次のどれか1つを選ぶことができるのです。
・障害基礎年金+障害厚生年金
・障害基礎年金+老齢厚生年金(老齢厚生年金>遺族厚生年金の場合)
・老齢基礎年金+老齢厚生年金(老齢厚生年金>遺族厚生年金の場合)
・障害基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金差額分(老齢厚生年<遺族厚生年金の場合)
・老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金差額分(老齢厚生年金<遺族厚生年金の場合)
※差額分とは遺族厚生年金から老齢厚生年金相当額を差し引いた差額分です。
上の選択肢には、障害基礎年金が含まれず、代わりに老齢基礎年金と老齢厚生年金としているものがありますのですこし説明を加えておきましょう。
障害基礎年金と老齢厚生年金では場合どっちが得か ?
障害基礎年金の等級によって少し違います。
障害基礎年金2級の場合
障害基礎年金2級の年金額は、年金保険料を納めた月数によらず、老齢基礎年金の満額と同額です。
なので、障害基礎年金+老齢厚生年金でも老齢基礎年金+老齢厚生年金でも同じになります。
障害基礎年金1級の場合
一方、障害基礎年金1級の場合は、障害基礎年金2級の金額の1.25倍の額になりまかすから、障害基礎年金+老齢厚生年金の方がもらう額が多くなります。
ただし、障害基礎年金は、障害の状態により1年~5年ごとに日本年金機構から送られてくる「障害状態確認届」(診断書)を、医療機関で書いてもらって提出しなければなりません。
それが面倒な人は2級の場合、老齢基礎年金+老齢厚生年金を選択した方が「楽」と言うことになりますね。
ちなみに障害年金には「子の加算」という仕組みもあります。
障害年金についてさらに詳しく知りたい方はこちらもあわせてどうぞ。
障害年金と老齢年金はどちらが得 ? 同時受給はできないの ?
おわりに
いかがでしたか ?
障害年金と遺族年金は両方同時にもらえるかについてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
障害年金と遺族年金は、65歳以上であれば両方もらえることがお分かりいただけたと思います。
自分はどの組み合わせが最も多く年金をもらえるのか、お住いの地域を管轄する年金事務所か市区町村の障害年金相談センターに問い合わせると教えてもらえますよ。
老後の年金は大切な糧ですから、もらいそびれのないようにしましょう。
最後までお読みくださってありがとうございました。