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標準報酬月額と年金受給額の関係~高い保険料にはメリットも

標準報酬月額と年金受給額の関係は?

標準報酬月額は年金受給額に密接な関係があるって知っていましたか ?

 

給料が上がるのはいいけど、標準報酬月額が上がって給料から天引きされる健康保険料と厚生年金保険料が上がるのは痛いなぁ。

そう思っていませんか ?

 

でも、標準報酬月額は払う保険料だけでなく、もらう年金にも関係があるのです。

 

ここではそもそも標準報酬とは何なのか、そして月額標準報酬月額と年金受給額の関係について解説してゆきます。

 

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標準報酬月額とは

はじめに、標準報酬月額とは何かご説明しておきます。

 

標準報酬月額とは、健康保険料と厚生年金保険料を決めるために給料を等級分けしたものです。

 

給料が高い人ほど健康保険料と厚生年金保険料(あわせて「社会保険料」と言います)を高く払う仕組みになっています。

 

ですが、一人ひとり異なる給料ごとに保険料を計算するのは大変なので、給料を等級分けすることで保険料を簡単に決めるために作られたのが「標準報酬月額」なのです。

 

たとえば給料が23万円の人なら標準報酬月額は24万円となります。

サンプルとして北海道の標準報酬月額表の一部を抜粋して掲載しておきますね。

 

なお、説明のため①~⑦の番号を付け、かつ⑤と⑦の横罫線を消しています。

 

①等級④報酬月額⑤標準報酬⑥健康保険料⑦厚生年金
②健③年以上~未満月額健康保険介護保険健保+介護被保険者
110~63,00058,0003,0305223,552.508,052
2163,000~73,00068,0003,5536124,165.008,052
3173,000~83,00078,0004,0757024,777.508,052
4183,000~93,00088,0004,5987925,390.008,052
中略
1815210,000~230,000220,00011,4951,98013,475.0020,130
1916230,000~250,000240,00012,5402,16014,700.0021,960
2017250,000~270,000260,00013,5852,34015,925.0023,790
2118270,000~290,000280,00014,6302,52017,150.0025,620
2219290,000~310,000300,00015,6752,70018,375.0027,450
2320310,000~330,000320,00016,7202,88019,600.0029,280
2421330,000~350,000340,00017,7653,06020,825.0031,110
2522350,000~370,000360,00018,8103,24022,050.0032,940
中略
3431605,000~635,000620,00032,3955,58037,975.0056,730
3532635,000~665,000650,00033,9625,85039,812.5059,475
中略
49321,295,000~1,355,0001,330,00069,49211,97081,462.5059,475
50321,355,000~1,390,00072,62712,51085,137.5059,475

表の見方は次の通りです。

 

表の左上が「①等級」でその下の「②健」と「③年」はそれぞれ「健康保険料」の等級と「厚生年金保険料」の等級であることを意味しています。

 

等級は、健康保険料が1~50等級に、厚生年金保険料は1~32等級に分けられています。

 

「④報酬月額」とは給料のことです。

ここで言う給料には次のものが含まれます。

 

報酬月額に含まれるもの

・基本給
・役職手当
・通勤手当
・家族手当
・住宅手当

 

 

「⑤標準報酬月額」は、「④報酬月額」の範囲によって定められた等級ごとの標準額です。

 

 

注意

報酬月額に対する標準報酬月額は全国共通です。
そして、標準報酬月額で決まる厚生年金保険料も全国共通です。
ただし、健康保険料だけは都道府県によって異なります。
これは都道府県によって支出される一人当たりの医療費が異なるためです。

 

 

それではこれから、この「標準報酬月額」と年金受給額の関係を解説してゆきますね。

 

 

標準報酬月額と年金受給額の関係

年金は次のように老齢基礎年金と老齢厚生年金で構成され、二階建てとなっています。

 

実際にはこれに付加給付などが付きますが、ここでは説明を分かりやすくするため、この2つのみ記載しておきます。

 

老齢年金=老齢基礎年金+老齢厚生年金

 

標準報酬月額は、年金のうちの老齢厚生年金を決定する要素の1つなのです。

 

そしてもう1つの要素は賞与になります。

 

では老齢厚生年金の計算の仕方を見ておきましよう。

 

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老齢厚生年金の計算

厚生年金保険料を多く払うと、年金の二階の部分、つまり将来もらえる老齢厚生年金が増えるのです。

 

そして、老齢厚生年金の額は基本的には次の式で計算されます。

 

 

老齢厚生年金の計算式

老齢厚生年金=A+B

A=平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの加入月数

B=平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の加入月数 (1円未満は四捨五入)

 

これは平成15年4月で制度が変わったためにこんな式になっています。

平成15年4月老齢厚生年金の計算に賞与も含めるようになったのですが、それ以前は含めていなかった。

そこで補正のために掛け率を高く設定しているのです。

 

「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」のよく似た2つの言葉が出てくるのは、賞与を含めていない時の計算と含めてからの計算を区別するためです。

 

平均標準報酬月額 :
被保険者であった期間の標準報酬月額の合計 を 被保険者であった期間の月数で割った額

 

平均標準報酬額 :
標準報酬月額と賞与を合算した額を被保険者であった期間の月数で割った額で、平成15年4月以降の期間に適用される。

 

なお、賞与は千円未満を切り捨てます(これを「標準賞与」と言います)。

 

実際には掛け率が、生年月日に応じた例外があったりして面倒でので、ここでは標準報酬月額の高い期間が長くなるほど将来受け取る老齢厚生年金の額が、標準報酬月額の増加分の5.481/1000増えると思って頂ければ十分です。

 

 

年金への影響(例)

例えば、2021年度に、これまで標準報酬月額が260,000円だった人が昇給によって280,000円になったとすると、その差額20,000円の5.481/1000、つまり 110円が、昇給前の老齢厚生年金に比べて多くなるということです。

 

加入月数を掛けますから10年間この標準報酬月額が続いたとすると110円/月×12ヵ月/年×10年=13,200円将来受け取る年金の年額が増えることになります。

 

1等級の違いでは大したことはありませんが、それでも年金が増えることは確かです。

 

ただし、この例だと一方で健康保険料は13,585から14,630円に、厚生年金保険料は23,790円から25,620円に増額となるので、給料から天引きれる額が合計で月額2,875円増えることになります(健康保険料は北海道の場合)。

 

 

老齢厚生年金には上限がある

標準報酬月額表の説明の際に厚生年金保険料の等級は1~32等級であることは既に述べましたね。

 

そうです。

厚生年金保険料は32等級より上はないのです。

つまり、給料が635,000円以上なら厚生年金保険料は変わりません。

 

ということは、将来もらえる老齢厚生年金は、給料が635,000円以上ならたとえ100万円もらっても、変わらないということです。

 

影響するのはその標準月額が続いた期間だけとなります。

 

もう一つの要素である賞与は、一回の支給につき最高150万円が標準賞与額の限度額となります。

 

老齢厚生年金を決める要素の上限

給料は635,000円
賞与は1,500,000円

 

 

おわりに

いかがでしたか ?

標準報酬月額と年金受給額の関係について解説してきましたが、参考になりましたでしょうか ?

 

若いうちは年金なんてあまり気にならないかも知れません。

でもいずれは年金で暮らす日がやってきます。

 

冒頭にも書きましたが、給料が上がるのは嬉しいけど、健康保険料と厚生年金保険料が上がるのは嬉しくないと思いますよね。

 

でも、厚生年金保険料が上がれば、将来受け取る年金額が増えると思えばむしろ嬉しいことではないでしょうか ?

 

最後までお読みくださって有り難うございました。