内定承諾を出した後で、じつはもっと行きたい企業からも内定をもらったら・・・。
先に内定承諾を出した企業を辞退できるのか ?
現実にあり得ることですよね ?
もし内定承諾の後で辞退したら損害賠償を請求されるとか、訴訟になるとか怖いことを言う人もいます。
でも、ご安心ください。
殆どのケースでは損害賠償を請求されたり、訴訟になったりすることはありません !
ただ、注意すべきことはあります。
ここでは、内定承諾後であっても、辞退することが法律的に問題ないことをご説明したいと思います。
あわせて注意して頂きたいことを、面接官の立場からお伝えしますね。
内定承諾後に辞退したら損害賠償を請求される ?
内定承諾後に辞退したらどうなるでしょう?
企業の対応と就職エージェントが間に入った場合では少し違ってきます。
順にご説明しますね。
企業の対応
内定承諾後に辞退されると企業としては実に「痛い」です。
毎年採用枠を決めて決められた期間内でできるだけ優秀な人材を確保するのが採用担当者の役目です。
なので、辞退されるとまた書類審査から面接まで、辞退された人数分やり直さなければなりません。
それでも企業側は、ほとんどの場合「そうですか。残念です。」で終わりです。
学生さんを相手に「約束違反だから損害賠償を請求しますよ。」なんて言いません。
就職エージェントの対応
ところが、就職エージェントが間に入っていると少し事情が変わってきて、「内定承諾後の辞退は、企業が許してくれない」と言われることがあります。
でも、これも心配する必要はありませんよ。
就職エージェントは、1名採用させたら○○万円と高額の報酬を企業からもらうことになっているので、むしろ企業以上に内定辞退をして欲しくありません。
そこで、「企業が許さない」と言う表現で内定辞退を阻止しようとするのです。
もし、エージェントが推薦した学生さんの内定辞退が多ければ、そのエージェントの信用問題にもかかわってきます。
でも、それはエージェントの都合であって、学生さんには関係ありませんから、気にすることはないのです。
内定承諾後の辞退は法律ではどう判断される ?
内定承諾後に辞退しても企業側から損害賠償請求をされたり訴訟を起こされたりはしないと言いましたが、これには法律的な根拠があります。
早速、ご説明しましょう。
法的根拠
期間の定めがない雇用は、被雇用者からいつでも解約できることが、民法627条に記されています。
条文を載せておきますね。
第627条
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
職業選択の自由を保障したものであり、内定者にも適用されるのです。
もう少し詳しくご説明しますね。
企業から「内定通知」が出され、あなたが「内定承諾書」を企業に返したことで、「雇用契約」が成立します。
ですから、「内定辞退」は雇用契約を一方的に破棄することになるので、企業側は契約違反に対して損害賠償請求をすることができそうに思われます。
でも、先ほど述べたように、職業選択の自由を保障した民法627条で、被雇用者(つまり内定者)からいつでも解約できるとされているのです。
従って内定辞退は民法に則った権利であり、問題はありません。
ただ、「辞退」の効力発生は意思表示をしてから2週間後ということを覚えておいてください。
(上記、民法627条による)
どういうことかと言うと、入社日の2週間前までに辞退の意思表示をしないと、一旦その会社に入社しなければならないということなんです。
それでは別な会社の入社日に間に合いませんよね。
内定辞退は、ぎりぎりになってからでは遅いのです。
お気を付けくださいね。
内定承諾後の辞退の注意点
内定辞退はギリギリになってからではいけません。
少なくとも入社日の2週間以上前にしなければならないことは既にお伝えしました。
じつは内定辞退には、ほかにも注意点があるのです。
それは、内定者のために入社を前提として、社員研修を受けさせたり、制服を準備するなど、企業が投資をしている場合なんです。
この場合は、内定辞退によって企業が内定者に投資したお金が無駄になってしまいますから、損害賠償を請求せれる可能性がありますよ。
実際には、ほとんどの企業ではいちいち内定辞退者に損害賠償を請求することはありません。
ただ、誠意のない辞退の仕方をすると、企業側が怒って損害賠償請求をする可能性がありますからご注意くださいね。
誠意ある内定辞退の仕方とは ?
内定を辞退する場合は、メールではなくまずは電話できちんと説明してください。
「内定を頂いていた○○大学の□□と申します。
せっかく内定を頂いて、しかも承諾書を出した後で大変申し訳ありません。
事情が有って辞退させて頂きたく、電話させて頂きました。」
と切り出します。
採用担当者は「辞退の理由を教えて頂けますか ?」と聞いてくるでしょう。
「じつは、他社さんからも内定を頂いて・・・悩んでいたのですが・・・他社さんに気持ちが傾いてしまいました。」
「誠に申し訳ありません。」
このあと、メールでも「先に電話で申し上げましたが・・・」として口頭で説明したことを改めてメールでも伝えてください。
これは、万一に備えたエビデンス(証拠)を残しておくためです。
いつ内定辞退の意思表示をしたかという証拠となりますからね。
これで賠償請求をする企業はまずないと思いますが、・・・あくまで、万一の備えです。
おわりに
いかがでしたか ?
内定承諾後の辞退で損害賠償請求や訴訟を起こされることはほとんどないことをお分かりいただけたと思います。
同時に、辞退先の企業にはそれなりの「迷惑」を書けるわけですから、誠意ある伝え方もあわせてお伝えしました。
あなたの参考になりましたでしょうか ?
あなたが希望される企業に就職できますように !
最後までお読みくださってありがとうこざいました。