子供の年金を親が払うとメリットがあるってご存知でしたか ?
ズバリ、節税になります。
どれくらいの節税になるかは後程詳しく説明します。
さて、年金は20歳から60歳まで払い続けることになっています。
でも学生なら自分で払うことはなかなかたいへん。
よくとられる手段が「学生納付特例制度」です。
これはあくまでも「猶予」ですから、後でしっかり払わなくてはいけません。
2020年の国民年金の1ヵ月の保険料は16,540円(毎年度見直しされます)です。
仮にこの額で1年間「猶予」を受けたとしたら、
16,540円×12ヵ月=198,480円
20万円近い金額となってしまいます。
自分の年金保険料を自分で払うのは当たり前。
親に負担をかけたくない。
そう思う人も多いでしょう。
でも、1年あたり20万円にもなる年金保険料を、学生のうちにアルバイトして払うのも、就職してから払うのもなかなか大変です。
年金を払えない学生は奨学金をもらって勉学に励んでいる人も多くいます。
そうすると就職してから、奨学金の返済と猶予してもらった年金の支払いのダブルパンチでとても辛いことになってしまいます。
そこでもし親に余裕があるのなら、親に払ってもらうと良いです。
子供の年金を親が払うとじつは親にとっては節税になります。
そのため、家族全体で見れば結果的に出てゆくお金を節約することになるのです。
なぜ節税になるのか、次の章でご説明しますね。
子供の年金を親が払う~メリットは節税
子供の年金を親が払うとなぜ節税になるのか。
理由をご説明します。
節税できる根拠
国民年金保険料は社会保険料のひとつとして、税金を計算する際に所得から「控除」できることはご存じですね。
そして、子供の年金保険料を親がはらった場合も対象となるからです。
国税庁のホームページに次のように明記されています。
「納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます」
出展 :
国税庁タックスアンサー No.1130 社会保険料控除 社会保険料控除の概要
2年分まとめて払ったら
過年度に猶予申請した分も含めて例えば2年分とか3年分を払った場合はどうでしょう?
同じく国税庁のホームページに明記されています。
過年度分であっても、今年支払ったものなら今年の社会保険料控除の対象になります。
出展:
国税庁タックスアンサーNo.1130 社会保険料控除 子供の過去の国民年金保険料を一括して支払った場合
さらに、翌年分の年金保険料を支払った場合も今年の社会保険料控除に含めることができます。
ただし、前納については1年以内のものについてのみ今年の社会保険料控除の対象とすることができますが、それ以上払っても今年の控除に含めることはできませんからご注意くださいね。
子供の年金を親が払うといくら得 ?
2020年の国民年金の1ヵ月の保険料は16,540円(毎年度見直しされます)ですから1年分の年金保険料は、
16,540円×12ヵ月=198,480円
約20万円となります。
子供の年金を親が払った場合、この20万円が控除の対象となります。
税率は親の収入によって異なります(所得税率は下表のように5%~45%)が、仮に年収500万円(所得346万円)とすると所得税率は20%、住民税は収入によらず10%ですから、20万円控除されると、
所得税が20万円×20% = 4万円
住民税が20万円×10% = 2万円
それぞれ少なくなり、合計で6万円の節税となります。
一方、子供がアルバイトをして自分で年金保険料を支払った場合は、収入が103万円以下ならそもそも所得税は発生しませんから節税になりません。
仮にアルバイトによる収入が103万円を超えていたとしても、親よりも稼いでいることはまずないでしょう。
要は、家族の中で一番所得の高い、つまり所得税の高い人が払って控除対象とするのがポイントなのです。
(参考)所得金額と所得税率
課税所得金額 | 税率 |
1,000円~1,949,000円 | 5% |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% |
40,000,000円以上 | 45% |
年金を親が払うときの手続きは ?
特別な手続きは必要ありません。
子供に送られて来た納付書を持って、コンビニ等で普通に支払うだけです。
そして、会社で年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の「社会保険料控除」の欄に支払った金額を記入して提出します。
このとき、誰の保険料を払ったのかを忘れずに記入してください。
もちろん受領印のある納付書の添付も必要ですよ。
年末調整のときに間に合わなかったり、あるいは忘れてしまった時は年が明けてから確定申告をしても良いですよ。
おわりに
いかがでしたか ?
子供の年金を親が払うと節税というメリットがあること、また節税のための手続きは年末調整または確定申告で済むことをお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
もちろん親の支出は大きくなりますが、家族全体で見た場合は誰が払っても同じです。
違うのは親が払えば所得税の還付を受けられるということです。
意外なところで節税になること、お分かりいただけたと思います。
最後までお読みくださってありがとうございました。