生計を維持していた人が亡くなってしまったとき、残された家族が暮らしてゆくための制度のひとつが遺族年金です。
遺族年金をもらえる条件とは何でしょう ?
ここでは、遺族年金をもらえる条件として、いくらもらえるか、何歳までもらえるのか、子供の有り無しは影響するのか、また遺族に収入があってももらえるのかについて解説しています。
遺族年金の条件
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。
遺族基礎年金は国民年金の制度ですから、亡くなった方が会社勤めをしていなくても遺族が対象となります。
一方、遺族厚生年金は、亡くなった方が会社勤めをしていた場合に遺族が対象となります。
それぞれについて条件を見てゆきましょう。
遺族基礎年金は子供のため
遺族基礎年金は遺児のための年金です。
ですから子供がいない場合はもらえません。
支給条件
遺族基礎年金の支給条件は次の2つです。
①18歳未満の子供がいること もしも、配偶者も既に亡くなっている場合は、子が受け取ることができます。
②原則として遺族の前年の収入が850万円未満であること。 (所得に換算すると655万5千円未満であること)
遺族厚生年金は子なしでもOK
遺族厚生年金は残された配偶者や子、孫のための年金です。
子どもがいなくてももらうことができます。
支給条件
支給を受けられるのは、次の4つのうち、いずれかに該当する場合です。
①老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が亡くなった場合
②被保険者が在職中に死亡した場合
③被保険者が在職中に初診日のあるケガや病気が原因で初診日から5年以内に亡くなった場合
④1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる人が亡くなった場合
日本年金機構ホームページを参考に記載
なお、①を「長期要件」、②を「短期要件」と言います。
②は、死亡の前日までに保険料納付済期間が保険料免除期間を含めて国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
②にはさらに、令和8年4月1日前なら、65歳未満で亡くなった場合、死亡日の属する月の前々月までの1年間保険料の滞納がないことが条件に加えられます。
遺族年金はいくらもらえるか
では、遺族年金はいくらもらえるのか、気になる額を確認しましょう。
遺族基礎年金の額
遺族基礎年金は、もらう人がこのある配偶者か子供かによって異なります。
表にまとめておきますね。
遺族基礎年金をもらう人 | 遺族基礎年金(年額) |
子のある配偶者の場合 | 781,000円+子の加算額 子の加算額は2人目までは224,900円/人 3人目以降は75,000円/人 |
子の場合 | 781,000円+2人目以降の子の加算額 各子が受け取る額は上の金額を子の数で割った額 |
遺族厚生年金の額
遺族厚生年金は、夫が受け取っていた(あるいは受け取る予定だった)老齢基礎年金のおよそ4分の3を受け取れます。
ただ、計算式はちょっとややこしいです。
遺族厚生年金の額
= (平均標準報酬月額×7.125/1,000×A+平均標準報酬月額×5.481/1,000×B)×3/4
A : 平成15年3月までの被保険者期間の月数
B : 平成15年4月以降の被保険者期間の月数
亡くなった方が厚生年金に加入していた時期が平成15年4月以降は掛け率が下がってしまうのです。
遺族年金は何歳までもらえるか
遺族年金は何歳までもらえるのか、遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれについて見てゆきましょう。
遺族基礎年金の年齢条件
遺族基礎年金は、18歳未満の子どもがいる場合に受け取れる遺族年金であることは既に述べましたね。
子どもを育てるための年金なので子供が18歳に達したらストップします。
ところで、老齢基礎年金は、原則として65歳から受給することができますよね。
では、遺族基礎年金をもらっていた人が65歳になったら両方もらえるのでしょうか ?
残念ながらそうはいきません。
遺族基礎年金と老齢基礎年金は一方のみ選択することになります。
遺族厚生年金の年齢条件
遺族が妻の場合と夫の場合では遺族厚生年金の年齢制限が異なります。
妻は年齢にかかわらず受給できます。
ただし、妻が30歳未満だと5年間しか支給されません。
一方、残されたのが夫の場合なら、妻の死亡時に55歳以上でなければ受給できません。
おわりに
いかがでしたか ?
遺族年金をもらえる条件、いくらもらえるか、何歳までもらえるのか、子供の有り無しの影響についてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
最後に遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給条件を表にまとめておきますね。
条件項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
子供の有無 | 18歳未満の子がいること (障害者なら20歳未満) |
– |
年齢制限 | ||
遺族が妻 | – | 年齢制限なし ただし、30歳未満だと支給期間は5年間 |
遺族が夫 | – | 55歳以上 |
遺族の収入制限 | 前年の収入が850万円未満であること | – |
亡くなった人の保険の加入期間 | – | 厚生年金の受給資格期間が25年以上 かつ国民年金加入期間の3分の2以上あること |
その他 | – | 次の場合は加入期間によらない ・在職中の死亡または在職中の病気・ケガの初診から5年以内の死亡・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる人が亡くなった場合 |
あと、いずれの遺族年金も、遺族となった配偶者が再婚したり、子や孫が婚姻した場合は、受給資格がなくなることを付け加えておきますね。
最後までお読みくださってありがとうございました。