公共職業訓練を受けると失業保険が延長されることがあるって知ってましたか ?
無償で職業訓練を受けてその上失業保険の受給期間が延びるなんて嬉しいですよね。
職業訓練にはほかにもお得な効果があります。
ここでは職業訓練を受けると失業保険が延長される条件やメリットについて解説してゆきます。
公共職業訓練とは
初めに公共職業訓練とは何かを簡単にご説明しておきますね。
公共職業訓練とは国・都道府県が実施する公的職業訓練で、失業手当を受給している人が就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料(ただしテキスト代等は自己負担)で行う制度です。
・訓練期間:3月~1年
・訓練はハローワークの施設で行うものと民間に委託して行うものがあります。
・主な訓練コースは次の通り。
訓練コース(例) | 関連資格(例)※ |
介護サービス科 | 介護職員初任者研修、介護事務管理士、実務者研修 |
OA事務科 | 簿記検定、表計算検定、ワープロ検定、計算実務検 定、社会人常識マナー検定 |
医療事務科 | 医療事務認定実務者試験、表計算検定、ワープロ検定 |
電気設備技術科 | 第二種電気工事士、第一種電気工事士、消防設備士 |
生産設備メンテナンス科 | 技能検定(電気職種)、第二種電気工事士 |
工場管理技術科(電気保全) | 第二種電気工事士、消防設備士、品質管理検定(QC 検定)、中小企業診断士(経営管理) |
組込みソフトウェア科 | ITパスポート、基本情報技術者、LinuCレベル1、LPICレ ベル1 |
スマート情報システム科 | 基本情報技術者、ウェブデザイン技能検定、CCNA、 OSS-DB Silver |
ICTエンジニア科 | ITパスポート、基本情報技術者、LPICレベル1、CCNA |
※資格の受験は任意です。訓練では資格関連知識を習得します。
出典 : 厚生労働省パンフレットより転載
スキルアップで就職力アップ 公共職業訓練
職業訓練を受ければ必ず資格が取れるというわけではありません。
資格の取得はあくまでも自分で受験しなければなりません。
ただ、通信教育やスクールで学ぶにはお金がかかりますが、公共職業訓練はテキスト代以外はかかりませんし、あとで詳しく説明する失業保険の延長も受けられますから、とても有利に資格に資格に近づけるというわけです。
コースによって受講する施設は、都道府県のポリテクセンターであったり委託先の施設であったりと異なります。
まずは就きたい職業を考えて、それから職業安定所の職員にどのコースが良いか相談するとよいですよ。
地域と時期によって受けられるコースは異なります。
こちらから地域毎の訓練情報を確認できますよ。
出典 : 厚生労働省
職業訓練検索検索
地域と「求職者支援訓練」や「短期資格等習得コース事業」などを選択して「検索」ボタンをクリックすると、受けられるコースがすべて表示されます。
公共職業訓練のメリット
公共職業訓練の最大のメリットは、
訓練によって就職に役立つ職業の専門知識や技能を身に付けられること
です。
でも、メリットはそれだけではありません。
まとめておきますね。
・訓練を無料で受けられる(テキスト代は自己負担 : 1万円~2万円程度)
・受講手当がもらえる(500円/日で最大40日まで)
・通所手当(通学にかかる交通費)が支給される
・寄宿手当を受けられる
・受講期間中失業手当が延長される
通所手当は公共交通機関を利用する場合は月額42,500円を限度とする実費が支給されます。
マイカーを利用する場合は、地域、距離に応じて月額3,690円、5,850円、8,010円のいずれかの額が設定されます。
また、公共職業訓練を受けるために家族と別居して生活する場合は、その間寄宿手当ととして月額10,700円が支給されます。
なお、ここでいう家族とは、訓練を受ける人によって生計を維持されている同居の親族に限定されますよ。
受講期間中失業手当が延長については後程詳しくご説明します。
お急ぎの方はこちらをどうぞ
公共職業訓練を受講するには
公共職業訓練を受講するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
申し込みの条件を満たしていることと試験に合格することです。
順にご説明しましょう。
公共職業訓練申し込みの条件
公共職業訓練の受講を申し込むには次の条件を満たしていることが必要です。
①雇用保険を受給している求職者であること
②過去1年以内に公共職業訓練を受けていないこと
その上で、公共職業訓練を受講することが、①適職に就くために必要であると認められ、かつ、②職業訓練を受けるために必要な能力等を有すると公共職業安定所長によって判断される必要があります。
具体的には筆記試験と面接試験に合格することが必要ということです。
なお、雇用保険を受給できない人のためには「求職者支援制度」があります。
こちらに詳しくまとめてありますのでご参照ください。
失業保険がもらえない ! でも求職者支援制度の給付金がある !
公共職業訓練の試験とは
試験は面接が重視されますが、筆記の出来が悪いと落とされます。
特に倍率の高いコースの受講を希望するなら筆記も面接もそれなりに準備しておいた方が良いです。
筆記試験
筆記試験は国語と算数でたいてい60分。
といっても侮ってはいけません。
算数は分数、平方根(√)、指数(累乗)、因数分解など、中学程度の問題が出題されますが、たいていの人はもう忘れていますから復習しておかないと悲惨な結果になりますよ。
国語は基本的に読み・書きです。
筆記試験のコツは国語からやること。
算数は考えるのに時間がかかることがあるので後で時間が足りなくなります。
なお、試験問題は各都道府県ごとに作成されています。
ネットで各都道府県の過去問が見れますから解いてみることをおすすめします。
面接試験
面接ではもっとも大事なことは「志望の動機」をしっかり言えること。
就活の面接と同様に非常に大事なものとなります。
公共職業訓練は、再就職を希望している求職者のための制度ですから、あくまでも「再就職のために受けたいということを強調します。
「職業訓練で○○知識をしっかり身につけて、再就職につなげたいと考えています。」
という感じですね。
職業訓練と失業保険の関係
公共職業訓練を受けると失業保険の面で次のメリットがあります。
・自己都合退職のときの2ヵ月の給付制限期間がなくなる
・職業訓練を受けている期間は失業保険の受給が継続される
・認定日にハローワークに行かなくてもよい
2ヵ月の給付制限期間がなくなる
自己都合で退職した場合は、病気やケガなどのやむを得ない理由でない限り、失業してから7日間の待機期間の後、さらに2ヵ月間の給付制限期間は失業保険を受けることができません。
ところが職業訓練を受けると給付制限期間が外れてすぐに失業手当を受けることができるようになるのです。
更に、職業訓練中に失業手当の給付期間が満了しても、職業訓練が続いている間は失業手当の給付が延長されるという恩恵があります。
ただし、失業手当の給付期間の残日数によっては延長が受けられません。
所定給付日数と訓練開始日の支給残日数の関係は次の通りです。
所定給付日数 | 訓練開始日の支給残日数 | 所定給付日数 | 訓練開始日の支給残日数 |
90日 | 1日以上 | 240日 | 81日以上 |
120日 | 1日以上 | 270日 | 91日以上 |
150日 | 31日以上 | 300日 | 101日以上 |
180日 | 61日以上 | 330日 | 111日以上 |
210日 | 71日以上 |
所定給付日数が90日か120日の人は1日でも残っていれば、失業保険給付が延長されます。
認定日にハローワークに行かなくてもよい
失業保険を受給するには、月に1度ハローワークへ行って認定を受けなくてはなりません。
でも、公共職業訓練受講中は認定手続きを職業訓練校が代行してくれるのでハローはワークにいかなくても失業保険をもらうことがてきます。
なお、公共職業訓練を受講すると月末が失業認定日となりますよ。
職業訓練は連続して受けることはできない
訓練受講中は失業保険が延長される恩恵があるのなら、職業訓練が終わったらまた別なコースの職業訓練を受ければ失業手当がずっともらえるのでは ?
と思うかも知れませんが、そうはいきません。
はじめにご説明した通り職業訓練の受講条件のひとつに過去1年以内に受講していないことがあるからです。
失業手当の不正受給を防ぐために設けられた条件なのです。
ただし、ハローワークが必要性を認める場合は別です。
例えば「求職者支援訓練の基礎コース→求職者支援訓練の実践コースまたは公共職業訓練」の組み合わせであれば、連続受講は可能です。
おわりに
いかがでしたか ?
公共職業訓練とはどんなものか、そのメリットについて、また失業保険との関係、特に失業保険が延長される条件についてご説明してきましたが、参考になりましたでしょうか ?
職業訓練を上手に使えば技能を身に付けて再就職できるだけでなく、その間の生活費の補填の役にも立つのです。
なお、職業訓練中の支出を抑えることに関してはこちらも参考になるかと・・・。
最後までお読みんくださってありがとうございました。