内定取り消しになったらどうするべきか ?
せっかく大変な就活を乗り越えて獲得したはずの内定。
これが取り消されてはたまったものではありませんよね。
まして、まだ職業スキルのついていない新卒ならなおさらのことです。
でも、しばしばあることなので、他人事ではなくなるかも知れません。
法的に取り得る手としては、あっせん、労働審判、訴訟がありますが、あっせん以外は弁護士さんに相談するのが望ましいです。
ここでは、内定取り消しとなった時どうするべきか、その対策と内定取り消しに対する備えを採用担当者の立場現場からお伝えしてゆきます。
内定取り消しになったらどうするか ?
内定取り消しになったらどうするか ?
まず初めにするべきことは、
内定取り消しの理由を会社側に求める
ことです。
これは、自分が納得できるものかどうかの判断と、納得できず、弁護士に相談する場合に必要な情報となりますから、必ず確認しておきましょう。
次にするべきことは
別な就職先を探す
ことです。
その上で、法的手段としては弁護士さんへ相談すること、又は労働局の「あっせん」を求めることが考えられます。
次の章でご説明致します。
内定取り消し~弁護士に相談して訴えを起こす
弁護士に相談して訴えを起こす場合、ここでも二通りのやり方があります。
・慰謝料を求める
・内定取り消しの無効を主張する
慰謝料を求める
慰謝料を求めることについては弁護士に相談する価値はあるかと思います。
内定取り消しによって受けた経済的な損害や精神的苦痛に対する慰謝料の請求です。
再び就活をしなければならないといという労力、うまく次の内定を取れるかという不安を強いられるわけですから、内定取り消しが違法である場合には、会社に対して、慰謝料を含む損害賠償請求をできることが十分考えられます。
しかし、正当な理由なくして、企業の都合で一方的に内定取り消しを伝えた会社で、今後の人生を過ごしたいと思いますか ?
次の就職先がきまるまで、給料を補償させるという意味でなら、内定取り消しの向こうを求める意味はあるかも知れません。
しかし、それも時間がかかるので時間と労力の無駄となりかねません。
一旦内定取り消しを伝えてきた会社に勤務したいと思いますか ?
私ならそんな会社はお断りです。
別な企業を探します。
内定取り消しに対して慰謝料や損害賠償を請求できるかどうかの主な判断材料としては次の項目が考えられます。
弁護士さんに相談する際に詳しく伝えましょう。
・内定取り消しの理由
・内定後に他の内定先を断っているか
・内定取り消し後に他の会社に就職できているか、および就職までの期間
また、会社側の対応についても考慮されますので、書面、メール、電話対応の記録を残しておきましょう。
内定取り消しの無効を主張する
一旦内定取り消しを伝えてきた会社に勤務したいと思いますか ?
慰謝料を求めることについては弁護士に相談する価値はあるかと思います。
しかし、正当な理由なくして、企業の都合で一方的に内定取り消しを伝えた会社で、今後の人生を過ごしたいと思いますか ?
次の就職先がきまるまで、給料を補償させるという意味でなら、内定取り消しの向こうを求める意味はあるかも知れません。
しかし、それも時間がかかるので時間と労力の無駄となりかねません。
私ならそんな会社はお断りです。
「どうしてもその企業で働きたい」ほどの魅力を感じているなら内定取り消しの無効を主張をするのも「あり」ですが、権利の主張のためならお勧めしません。
それよりも、別な企業を探すことをお勧めします。
なお、弁護士さんに相談して訴えを起こすには「労働審判」と「訴訟」の2つのやり方があります。
ほかに、訴えを起こすのではなく、労働局に「あっせん」を求めることも可能です。
これら3つの方法について、比較表を載せておきますね。
内定取り消しに関する3つの対処法の比較表
あっせん | 労働審判 | 訴訟 | |
対応機関 | 労働局の「総合労働相談コーナー」における無料の制度 | 裁判所 | 裁判所 |
所要時間 | 申請してから1~2ヵ月程度であっせん開始し、原則1回で終結 | 原則として3回以内の期日で審理を終える 多くは3ヵ月程度 |
1~2年 |
費用(※) | 無料 | 35,000円程度+弁護士費用 | [弁護士費用]
着手金 : 10万円〜30万円 成功報酬金 : 20万円前後、または獲得金額の10〜15% |
あっせんについてもっと知りたい方はこちらもご参照ください。
内定取り消しにどう対処すべきか ? 法的手段の前にやれること
内定取り消しへの備え
コロナをはじめ様々な外的理由で業績が悪化して、内定取り消しという可能性もあります。
そこで内定取り消しの予防策を取っておくことも視野に入れておくことをお勧めします。
そうです。
内定が決まっても就活を続けることが、内定取り消しという不測の事態に備える予防策となります。
内定辞退の意志表示は法的には入社の2週間前まで可能なのです。
ですから、内定は複数保有していてよいのです。
ただ、採用する側からホンネを言わせて頂ければ、そんな直前の内定辞退は迷惑です。
複数の内定先を手に入れたら、できるだけ早い時期に1社に絞って欲しいころです。
そうは言っても、不景気などによる内定取り消しを恐れて1~3月まで1社に絞る時期を延ばす人が多くなっているのは事実。
ひとつだけお願いしたいのは、辞退の際は、くれぐれも誠意をもって伝えるようにするということです。
将来、辞退した会社と取引をする可能性だってないとは言えませんから。
「勝手を申しまして大変申し訳ございません。」
「内定承諾を提出しておりましたが、辞退させて頂きたく、連絡させて頂きました。」
「ご迷惑をお掛けしますことを重ねてお詫び申し上げます。」
これは電話の他にメールでの連絡が必須です。
内定辞退の意志を伝えたエビデンスとなるからです。
内定辞退のやり方についてはこちらもご参照ください。
内定承諾後の辞退はいつまで ? 問題とならない伝え方を伝授
内定取り消しの正当な理由
ここで、内定取り消しの「正当な」理由を確認しておきましょう。
次の6つです。
①卒業できないとき
②応募書類に虚偽があったとき
③病気やけがで勤務することができなくなったとき
④犯罪を犯したとき
⑤会社のイメージを損なうことをした時
⑥会社の経営の悪化
①~⑤はこちらの問題ですから事実であれば致し方ありません。
しかし①卒業できないときに関しては、入社の時期をづらしてもらえないか交渉の余地があるかも知れません。
⑥会社の経営の悪化については、
・人員整理の必要性があること
・解雇回避のために最大限の努力を行ったこと
・解雇対象者の選定等が合理的に行われていること
など、「整理解雇」と同等の条件を満たしている必要があります。
本人に原因があるわけではないので、内定の取り消しの有効性は厳しく判断されることとなります。
おわりに
いかかでしたか ?
内定取り消しになったらどうするべきか、特に自分に落ち度がない場合の対策と備えについてお伝えしてきましたが参考になりましたでしょうか ?
採用の現場としては、内定辞退をして欲しくありません。
しかし、求職者の方々の安全のための手段として複数の内定を保持することは認めざるを得ません。
そして、それによって最終手的に内定辞退されたとしてもいたしかたないと割り切るしかないのです。
どうぞ「安全第一」で判断されてください。
最後までお読みくださって有難うございました。