退職したけど離職票が届かない !
離職票はハローワークで失業手当をもらうために欠かせないものです。
「離職票がもらえない」なんてことはあるのか ?
と思うでしょうが、実際に離職票がもらえないことがあるのです。
考えられる理由は次のどちらかです。
①会社の担当者が忘れていた
②会社の嫌がらせ
そんなときはどうしたら良いか ?
まずは、ハローワークに問い合わせること
そのあとのことは、問い合わせの結果で違ってきます。
ここでは、離職票がもらえないときの対処法について具体的に説明したいと思います。
そもそも離職票とは ?
離職票とは、従業員が退職したときに会社がハローワークに届け出るもので、ハローワークが受け付けてから最終的に会社を経由して本人に送られるものです。
離職票は、次の3つから構成されています。
・離職票証明書
・離職票-1
・離職票-2
それぞれ、次の内容が記載されます。
離職票-1
・会社名、事業内容
・退職者の雇用保険被保険者番号、資格取得年月日、退職年月日、被保険者の種類
「雇用保険被保険者の種類」とは、一般、高齢、日雇いなどの区別のことです。
失業手当を申請するときに、この離職票-1に、退職者本人が雇用保険の失業給付(基本手当)の振込先口座とマイナンバーを記入します。
離職票-2
・会社名、住所、事業内容、事業所番号
・退職者の氏名・住所・生年月日・退職年月日など
・離職日以前の賃金支払い状況
・退職理由
とくに、賃金支払い状況と退職理由に間違いがないか要チェックです !
賃金の支払い状況は過去6ヵ月の給与の額が記載されます。
これをもとに失業手当の額が計算されますから、違っていないか確認する必要があります。
退職理由は、自己都合か会社都合かによって失業手当をいつから受けられるかが違ってきますから、こちらも間違いないことを確認します。
離職票証明書
離職証明書は離職票-2と同じ内容です。
じつは、離職票-2は離職証明書の複写となっているのです。
離職票発行の流れ
離職票が退職者本人に届くまでの流れは次のとおりです。
①会社は従業員が退職した日の翌日から10日以内にハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。
これは、雇用保険法第7条および同施行規則第7条によって会社に義務付けられています。
②会社は、同時に上で説明した「離職証明書」をハローワークへ提出します。
③ハローワークは給与の支払い額などが間違いのないことを確認したら離職票に受付印を押して、会社に返します。
④会社が退職者本人に離職票を送ります。
これが、離職票発行の「流れ」です。
以上の処理により、本人に離職票が届くまで、通常は10日くらいかかります。
離職票発行は会社にとって法律上の義務
離職票を本人に渡すことは会社の義務か ?
結論を言えば、会社は退職者本人に離職票を交付する法的義務があります。
法律が面倒な方は次の説明は読み飛ばして頂いて結構です。
その次の「離職票が届かないときの対処法」にお進みください。
法的根拠
法的根拠は、雇用保険法第七十六条第三項です。
原文は長いですし、分かりにくいので、要点を言うとこうです。
「事業主(つまり会社)は、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付の請求を受けたらその請求に係る証明書を交付しなければならない。」
「求職者給付」とは「失業手当」を含む複数の制度です。
そして、「その請求に係る証明書」には、当然「離職票」が含まれています。
ですから、ハローワークから届いた離職票を本人に交付するのは、会社の義務なのです。
離職票が届かないときの対処法
離職票の発行は会社の義務であることは既に述べました。
では、離職票が届かないとき、つまり会社が義務を怠っている場合はどうしたら良いのか ?
2通りのケースがあります。
ハローワークへはこう確認しよう !
まずやるべことき、はハローワーク確認すること !
あなたのところに離職票が届かなくても、じつは会社はハローワークに離職票を提出している可能性があるのです。
離職票があなたのところに届かない理由は次のいずれかです。
①会社が離職証明書をハローワークに提出していない
②離職証明書をハローワークに提出したが、ハローワークから会社に届いた離職票をあなたに送っていない
①の場合はハローワークから会社に督促してもらいます。
②の場合はちょっとやっかいですので後ほど説明します。
ハローワークには次のように聞きます。
「済みません。 ○月○日に退職した××××と申します。」
「会社の方で『離職証明書』を提出しているか確認したいのですが・・・。」
このとき、「雇用保険被保険者証」を手元に用意しておいでください。
被雇用保険者番号を聞かれますので。
まず、①の会社が離職証明書をハローワークに提出していない場合なら、既に述べたようにハローワークから会社に督促してもらいます。
そして、問題は②の既に離職証明書がハローワークに届いている場合です。
この場合は離職票があなたのところに届かない理由として、さらに次の2つが考えられます。
①会社の担当者が忘れている
②「故意」に、つまり嫌がらせで離職票を送ってくれない。
退職の際、「円満退職」であれば①の忘れていることが考えられますので、会社に連絡すれば送ってもらえます。
一方、「円満退職」でなかったときは会社に連絡しても進まないでしょう。
退職を認めてくれないところを無理やり(と言っても、法的には退職届けを出していれば2週間後に退職して問題ありませんが・・・)辞めた場合は、嫌がらせで故意に離職票を出してくれない可能性大だからです。
その場合の対処法をお伝えします。
故意に離職票を出してくれない場合の対処法
この場合、あなたが取れる行動は、次の2つです。
①労基署に相談する
②ハローワークに離職票を再発行してもらう
労基署に相談する
雇用保険法第七十六条第三項によって、離職票の本人への交付が義務付けられているにも関わらず、会社がそれを拒否した場合は、労基署に相談します。
ハローワークではありません。
労基署です。
労基署(正確には労働基準監督所)には絶大な権限があるからです。
その役割は、企業に労働基準関係法令を遵守させることにあります。
法令違反が悪質な場合は、警察同様に、経営者を逮捕することさえできるのです。
なので、労基署に相談すると、アクティブな対応が期待できます。
ハローワークは、指導はできても強い権限は与えられていません。
ハローワークに離職票を再発行してもらう
もうひとつの手段として、ハローワークに離職票を再発行してもらうことができます。
これは、会社が「離職証明書」をハローワークに提出済みであることが条件です。
単に会社の担当者が忘れているだけの場合は会社に言えば送ってもらえます。
でも、故意に送付していない場合は言っても効果は期待できないでしょう。
この場合注意すべきことは、「会社が交付してくれない」とは言わないことです。
それを言うと、ハローワークは会社に離職票の交付を督促します。
でも、ですよ。
会社が嫌がらせで離職票を交付しない場合は効果が期待できず、先に進まなくなってしまいます。
ハローワークには罰する権限がないからです。
もし、そうなってしまったら、上でお伝えした「労基署」に相談することです。
なのでここは、「離職票が見当たらないので再発行をお願いします。」と言うことです。
一度退職の事実をハローワークが確認しているので、再発行してもらえます。
嫌がらせで離職票を交付してくれない会社に、どうしても一矢報いなければ気が済まない方は労基署に相談するのが良いでしょう。
でも、時間がかかります。
労基署路は、あなたの相談に対して事実関係を調査しなればなりませんから。
一方、ハローワークに離職票の再発行を依頼した場合は単なる事務手続きの日数だけで済みます。
あなたならどちらを選びますか ?
おわりに
いかがでしたか ?
退職したけど離職票がもらえないときの対処法についてお伝えしましたが、参考になりましたでしょうか ?
早く離職票を手にして、無事に失業手当がもらえますように !
最後までお読みくださって、ありがとうございました。