会社の資料は持ち帰りしてもいいのでしょうか ?
新人のうちは研修の資料を家に持ち帰って勉強したいと思う人もいますよね。
また、あまり遅くまで残業したくないから会社のデータを持ち帰って自宅で仕事の続きをしたいとか・・・。
でも、資料やデータは、原則持ち出し・持ち帰り禁止としている会社がほとんどです。
理由は、会社の機密や個人情報の漏洩(ろうえい)を防ぐためです。
「機密と言われても、自分のような一般社員が会社の機密なんて知らないよ。」
と思うかも知れませんね。
でも、じつは「機密」は意外と身近なところにあるんです。
ここでは、会社の資料は持ち帰りしても良いのか ? 家で仕事の勉強や仕事の続きをしても良いのかについて、機密を扱う人事・総務担当者の視点からお伝えしたいと思います。
会社の機密情報ってなに ?
会社の資料を持ち帰りしてはいけない理由は、そこに機密情報が含まれているからだとお伝えしました。
では、会社の機密情報とはなんでしょう ?
具体的にご説明しましょう。
会社の機密情報は身近にある
会社の機密情報って、意外と身近にあると述べました。
たとえば・・・。
・取引先の社名
・取引先の担当者名
・見積価格
・仕入価格
営業担当者なら誰でも手に入る情報ですよね。
でも、会社がどんな顧客と取引しているか? また、取扱い製品をいくらで仕入れているか、さらにいくらで見積を提示しているか、これらはすべて会社の機密情報です。
ライバル会社に知られては困る情報だということは分かりますよね。
たとえば取引先に、うちの会社より安い見積を提示されたら、そちらに顧客を奪われてしまいますから。
また、新人向け社内研修の資料にも記載されていることもあります。
研修内容から、その会社がどんなことに力を入れているかが推測できます。
なので、研修の資料も機密情報と言えるのです。
会社の機密情報は一般社員が日頃触れているものだということが、お分かり頂けたと思います。
個人情報も取扱い注意
機密情報と同様に個人情報も持ち出し禁止です。
個人情報とは、本人を特定できる情報のことで、氏名、生年月日、住所などです。
個人情報が漏れると、詐欺その他の犯罪に利用されたり、誹謗中傷を受けるなどの被害に遭う恐れがあます。
ですから、会社には、「個人情報保護法」によって個人情報を守る「義務」が課せられているのです。
会社では、人事・総務に従事する社員が最も個人情報に触れる機会があると言えます。
社員の「住所録」や「緊急連絡先一覧」なんて、個人情報そのものです。
なので、当然持ち出し禁止とされるのです。
禁止される会社の資料持ち帰りの方法とは ?
会社の資料を持ち出す方法は、印刷された資料を持ち帰ることに限りません。
何気なくやっている人が多いと思いますので、やってはいけない例をあげておきますね。
データをメールで自分に送る
休日出勤はしたくないので、仕事のデータをメールに添付して自分が使っている個人のメールアドレス宛に送っておく。
自宅のパソコンでメールを開いて、添付された会社のデータをダウンロード。
そうすれば自宅で仕事ができます。
でも、これは殆どの会社で原則「禁止」されています。
なぜなら、メールはハッキングされたり、データを盗まれる可能性があるからです。
そこで、メールに資料を添付するときは暗号化して、解凍のパスワードを別メールで送るのが一般的です。
これによってデータが漏れることはかなり防ぐことができます。
でも、てすよ。
暗号化すれば会社の資料やデータを自分あてに送ってもよいことにはならないのです。
とにかく「持ち帰り」・「持ち出し」は禁止。
これは就業規則など、会社の規程で決められているのでやってはいけないのです。
在宅勤務とか、特別に会社が許可した場合のみ会社の資料やデータを自分あてに送ることができます。
なにかやむを得ない事情がある時は、上司に相談してみると良いですよ。
勝手にやって、見つかると処罰の対象なってしまいますから。
データをUSBメモリに入れて持ち帰る
会社の資料は、メールで自分宛に送る以外に、USBメモリに入れて持ち帰る方法もありますね。
これも、メール同様に当然「禁止」です。
会社の資料を持ち出したときの罰は?
ここまで、会社の資料を持ち出し・持ち帰りしてはいけないことを説明してきましたが、「やってしまったら」どうなるでしょう ?
メールで資料を自分宛に送っても、ばれない可能性は高いです。
でも、もしも会社にバレたらどうなるか ?
なにか罰があるのでしょうか ?
営業秘密に関するデータを持ち出した場合は、不正競争防止法違反に問われる可能性があります。
これは、刑事罰が科されることもあります。
それだけではありません。
刑事罰を免れたとしても、会社のデータを持ち出したことで、まんいち会社に損害を与えた場合は、民事責任を問われます。
そして、損害賠償請求をされる可能性があります。
さらに、会社からの何らかの「懲戒」処分は免れないと思ってください。
特に重要な機密情報がメールの誤送信などで第三者に渡ってしまい、会社に損害を与えたら・・・。
その場合は、「懲戒」の中でも最も重い「懲戒解雇」の処分がなされることもあるのです。
「懲戒解雇」のうえ、「損害賠償請求」というダブルの「罰」を受けることになってしまいます。
なので、よほどの覚悟がなければ会社資料の持ち出し・持ち帰りはしないことです。
「懲戒」の種類についてはこちらに説明してありますから、よろしければどうぞ。
おわりに
いかがでしたか ?
会社の資料の持ち出し・持ち帰りについて情報セキュリティの見地からお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
会社の機密情報は意外と身近にあることも、持ち出しのリスクもお分かり頂けたと思います。
あなたが思わぬところで情報漏えいの危険に巻き込まれませんように。
最後までお読みくださって、ありがとうございました。