退職するときって、たいてい有給休暇が残っています。
せっかくなので、有給休暇を消化して辞めたいですよね。
でも、会社に有給休暇の消化を拒否されたらどうしたら良いでしょう ?
有給休暇の取得は労働者の「権利」なので、会社はこれを拒むことはできません。
そうは言ってもトラブルは避けたいところです。
ここでは、どうしたら退職するときに有給休暇を消化できるかについて、くわしく説明したいと思います。
退職のとき有給休暇を消化するための条件
有給休暇を消化するための条件は、「引き継ぎ」をきちんとしていることです。
「引き継ぎ」もしないで権利だけを主張するのは大人のすることではありません。
やるべきことをやった上で、有給休暇を消化するのであれば、誰も文句は言わないでしょう。
問題なく有給休暇を取得できますよ。
でも、もしも会社が引き継ぎの相手を用意してくれなかったら・・・。
そのときは、「引き継ぎ」の資料をしっかり残します。
こちらには引き継ぎの意思があるのに対応しないのは、会社側の責任ですから、こちらとしては、引き継ぎ資料を残すことが、精一杯の対応です。
退職のとき有給休暇の消化を会社が拒否できるか ?
退職届は受理されたけど、会社に「退職日まで働いてくれ」と言われたらどうしたら良いでしょう ?
「この忙しいときにそんなに休まれては困る」とか
「辞める人間に『有給休暇』なんてあげられないよ。」
なんて言う上司もいます。
こんなときはどうするか ?
有給休暇に関する、会社側の権利は、「休む日をずらしてくれ」ということだけです。
これを「時季変更権」と言います。
つまり、「有給取得日を別の日に変更できる権利」が会社にはあるのです。
でもこれは、勤務を継続する人に対しての権利であって、退職する人には当てはめることはできません。
なぜなら、辞めてしまうので後の日程に変更のしようがないからです。
なので、会社は、退職する人が有給休暇を消化することを拒否することはできません。
そのことを上司に説明してみて下さい。
「理屈」の分かる上司なら、理解してくれるでしょう。
それでも、休んでは困ると言われたら、対処方法は次の3つです。
話し合いで調整する
もっとも望ましいのは、会社と合意の上で有給休暇を何日消化するかを決めることです。
権利だけ主張するのではなく、ある程度は譲歩して、会社の都合も聞いてあげる。
その方が円満退社できて、後でとやかく言われないで済みます。
「○○日までは出社することは可能です。」
「でも、それ以上はできません。」
とはっきり譲歩できるリミットを地用紙に伝えることが大事です。
そのとき、
「引き継ぎ資料はできています。」
と付け加えることも忘れてはいけませんよ。
有給休暇の一部を買い取ってもらう
あと、有給休暇の一部を買い取ってもらうということも話し合いで可能です。
本来、有給休暇は会社が「買い取って」そのかわりに働かせるこができると言うものではありません。
でも、退職の場合だけは、本人と会社が合意すれば有給休暇を何日か会社に買い取ってもらうことが可能です。
あくまでも、「合意」の上ですよ。
会社には有給休暇を「買い取る」義務はないのです。
ただ、退職前に少しでも出勤してもらうために、「お金と交換」も「あり」だということです。
「有給休暇の買い取り」に関しては法的な基準はありません。
必要なのは本人と会社の合意のみです。
ただ、1日をいくらで買い取るかについては注意が必要です。
安く買いたたかれないようにしてください。
月給を1日あたりに換算して算出するのがお互いに納得しやすい決め方となります。
「有給休暇の買い取り」は、本人から会社に申し入れても、会社から本人に申し入れても構いません。
ここまで、譲歩を図ったにも拘わらず、
「休んでは困る。」
の一点張りで話し合いの余地がない場合は、どうするか ?
あとは、法的手段を取るしかありません。
強硬手段で有給休暇を消化して辞める方法
会社宛に内容証明郵便を送ります。
記載事項は次のとおりです。
・退職日
・有給消化をしたい期間
この2つを記載して会社(代表取締役)宛てに内容証明郵便で郵送します。
これで、有給休暇を取得すると言う意思を会社に伝えたことになりますので、会社は拒否できないことになります。
当然、無断欠勤扱いにすることもできません。
強硬な手段を取って有給給化を取得したことで、もしも会社が給与の支払をしなかったら ?
これは明らかに労働基準法違反となります。
労基署に連絡して、会社に対して「指導」をしてもらってください。
でも、労基署って「指導」するだけでなんの権限もないのでは・・・?
そう思われる人も多いようですね。
じつは、労基署には警察なみの権限があるんですよ。
労基署の権限とは
労基署(正確には「労働基準監督署」)の監督官の役目は、個々の企業に労働基準法を守らせることにあります。
そして、その役目を果たすために、強い権限が与えられているのです。
たとえば、労働基準法に違反して、それが悪質なら「逮捕」する権限があります(労働基準法基法102条)。
なので、「退職のときに有給休暇を認めない」とか、「有給を取ったら給与を支払わない」とかの労働基準法違反があったときには、労働基準監督署に相談して会社の違反行為を「是正」してもらうのが有効な方法と言えます。
おわりに
いかがでしたか ?
退職するときに、有給休暇を消化できることはお分かり頂けたと思います。
願わくば強硬な手段に訴えることなく、穏便に有給を取得して円満退社したいですね。
この記事があなたのお役に立てばうれしいです。
最後までお読みくださってありがとうございました。