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個人事業主の税金と控除を徹底解説。これだけで丸分かり !

個人事業主の税金と控除 これで分かったわ ! 

個人事業主の税金とその控除にはなにがあるでしょう ?

また、税金はどう計算するのか ?

 

払うべき税金を忘れたり、せっかく控除できるものをのにみすみす税金を払ってしまってはもったいないです。

 

ここでは、これから個人事業主になろうとしている方、個人事業主になったばかりの人のために、個人事業主の税金とその控除について詳しく解説しています。

 

 

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個人事業主の税金の種類

個人事業主が払わなければならない税金に次の4種類があります。

①所得税
②消費税
③個人事業税
④住民税

 

それぞれの税金の区分(国税か地方税かの別)と控除の名称を表にしておきます。

種 類区 分控 除
所得税国税所得税控除
個人事業税地方税事業主控除
消費税国税+地方税仕入税額控除
住民税地方税所得控除

それでは順に見てゆきましょう。

 

 

個人事業主の所得税と控除

まず初めは所得税です。

 

所得税の計算

所得税とは、働いて1年間に一定以上の所得があればだれにでも課せられる「国税」です。

 

所得税 =(所得金額-所得控除額)×税率 - 税額控除額

 

ここで、所得金額とは1年間の収入から必要経費を差し引いた額を言います。

 

所得金額 = 総収入金額 - 必要経費

 

サラリーマンにはあませんが、個人事業主は事業に使用するパソコン購入代金やサーバー利用料、事務所の賃借料などが必要経費として認められます。

 

上の2式を1つにまとめると

 

所得税 =(総収入金額 - 必要経費 - 所得控除額)×税率 - 税額控除額

 

となります。

(総収入金額 - 必要経費 - 所得控除額)の部分が「課税所得金額」です。

 

課税所得金額 = 総収入金額 - 必要経費 - 所得控除額

 

 

所得金額から控除できるものとしては、社会保険料など全部で15種類ありますので後ほどまとめてご説明しますね。

 

 

所得控除と税額控除額

所得控除と税額控除額ちょっとまぎらわしいですね。

所得控除とは、税率を掛ける前に所得金額から控除するものです。

税額控除額とは、課税所得金額に税率を掛けて算出した後の所得税額から一定額を控除することを言います。

 

 

所得税率と税額控除額

 

課税所得金額に応じた所得税率と税額控除額は次の表の通りです。

 

所得税率と税金控除額

課税所得金額所得税率税金控除額
195万円未満5%0円
195万円超330万円未満10%97,500円
330万円超695万円未満20%427,500円
695万円超900万円未満23%636,000円
900万円超1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円超4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

出典 : 国税庁 下記を参考に記載
No.2260 所得税の税率

 

たとえば課税所得金額が7,000,000円であれば、所得税の額は次のように計算されます。

 

所得税 = 7,000,000円×0.23 - 636,000円 = 974,000円

 

サラリーマンなどのいわゆる給与所得者は、所得税が給与から天引き(源泉徴収)されていますから自分で計算する必要はありませんが、個人事業主は自分で計算して「確定申告」をする必要があります。

 

なお、会社勤めをしながら副業で個人事業主となっている人は、副業の所得が20万円以上であれば確定申告を行わなければなりません。

 

 

所得控除

所得控除の種類と控除対象、そして控除額を一覧にまとめておきますね。

所得税は所得からこれらの所得控除と必要経費を差し引いた額に対して課税されます。

 

15種類の所得控除一覧

控除の種類控除対象控除額
雑損控除(注 1)災害、盗難や横領によって損害を受けた場合以下のいずれか多い方
・損害金額+災害関連支出額-保険金等の額 -所得×10%
・災害関連支出額-保険金等の額-5万円
医療費控除(注 2)総所得200万円以上の人 :
医療費の合計が10万円を超えた場合
総所得200万円以上の人 :
1年間に支払った医療費のうち10万円を超えた分
社会保険料控除(注 2)健康保険料、年金保険料支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金支払った掛金の合計額
生命保険料控除生命保険、介護保険、 個人年金保険各々最高 4万円(旧契約は最高5万円)
地震保険料控除地震保険料支払い額により計算(最高 5万円)
寄附金控除国や地方公共団体、認定NPO法人等に対する寄付
(ふるさと納税等)
 次のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額
障害者控除本人や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合一人につき、
障害者     : 27万円
特別障害者   : 40万円
同居特別障害者 : 75万円
寡婦控除夫と死別した人
または離婚して扶養家族がいる人
(いずれも所得が500万円以下であること)
27万円
ひとり親控除本人がひとり親である場合
(所得が500万円以下であること)
35万円
勤労学生控除働いている学生
(前年の所得が75万円以下であること)
27万円
配偶者控除生計を一にする配偶者の合計所得が48万円以下の場合本人の所得と配偶者の年齢によって決まる
一般控除対象配偶者 : 最大38万円
老人控除対象配偶者 : 最大48万円(配偶者の年齢が70歳以上)
配偶者特別控除本人の所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円以上133万円未満である場合配偶者の所得によって決まる
最大38万円
扶養控除生計を一にする配偶者以外の所得が48万円以下の親族がいる場合一般の控除対象扶養親族(16歳以上) : 38万円
特定扶養親族(19歳以上 23歳未満) : 63万円
老人扶養親族(70歳以上 同居以外)  : 48万円
老人扶養親族(70歳以上 同居)    : 58万円
基礎控除すべての人本人の所得によって決まる
最大48万円(所得が2,4000万円以下の場合)

出典 : 国税庁
No.1100 所得控除のあらまし

 

なお、日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者の場合の所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つとなります。

 

青色申告特別控除

個人事業主には、上に述べた一般的な所得控除のほかに、青色申告による特別控除が認められています。

これは、個人事業主が複式簿記による記帳を行って、確定申告の時に損益計算書と貸借対照表を提出することで、青色申告特別控除として、最大65万円を所得から控除することができるというものです。

 

 

個人事業税と控除

個人事業主には所得税のほかに、個人事業税を納めなくてはなりません。

これは事業によって異なります。

 

個人事業税とは

個人事業税とは、法律で定められた70種の法定業種(地方税法第72条の2に定められている事業)に課せられる「地方税」で、業種によって税率が3%~5%と変わります。

 

ざっと言えば・・・

 

第1種事業:税率5% / 物品販売業や、運送業、料理店業、出版業など37業種

第2種事業:税率4% / 畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種

第3種事業:税率5% / 医業、弁護士業、公認会計士、理美容業など28業種(鍼、マッサージ指圧などの医業、装蹄師業の2業種は税率3%)

 

となっています。

 

詳しくは下の表をご参照ください。

 

非課税の業種もありますから、個人事業主の開業届書の「職業」の欄にどう記載するかで課税の有無や税率が変わることがあります。

 

たとえば「Webデザイナー」なら「デザイン業」になるので課税対象となります(税率5%)が、「プログラミング業」とすれば法定業種に含まれませんので非課税となります。

 

関連記事
個人事業主の開業届に必要なものは ? 書き方もサクッと解説

 

ご自身の事業が課税対象かどうか、また課税率は何%なのか、確認しておくと良いですよ。

 

個人事業の法定業種と税率

区分税率事業の種類
第1種事業5%物品販売業運送取扱業料理店業遊覧所業
(37業種)保険業船舶定係場業飲食店業商品取引業
金銭貸付業倉庫業周旋業不動産売買業
物品貸付業駐車場業代理業広告業
不動産貸付業請負業仲立業興信所業
製造業印刷業問屋業案内業
電気供給業出版業両替業冠婚葬祭業
土石採取業写真業公衆浴場業
(むし風呂等)
電気通信事業席貸業演劇興行業
運送業旅館業遊技場業
第2種事業4%畜産業水産業薪炭製造業
(3業種)
第3種事業5%医業公証人業設計監督者業公衆浴場業(銭湯)
(30業種)歯科医業弁理士業不動産鑑定業歯科衛生士業
薬剤師業税理士業デザイン業歯科技工士業
獣医業公認会計士業諸芸師匠業測量士業
弁護士業計理士業理容業土地家屋調査士業
司法書士業社会保険労務士業美容業海事代理士業
行政書士業コンサルタント業クリーニング業印刷製版業
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復装蹄師業
その他の医業に類する事業

出典 : 東京都主税局 HPより転載
法定業種と税率

 

個人事業税の支払いは年2回で、第一期分は8月末、第二期分は11月末です。8月頃に都道府県の税事務所から「納税通知書」が送られてきますよ。

 

また、個人事業税額は確定申告で提出した資料をもとに税事務所が計算しますから、別途個人事業税の申告を行う必要はありません。

 

なお、個人事業の業種が上記70種の法定業種以外の場合は、確定申告書Bの第二表の「事業税」の「非課税所得など」欄に所得額を記載します(「番号」欄は「10」)。

 

下図の赤枠部分です。

事業税の欄

「確定申告書Bの第二表」より転載

 

詳しくはこちらをご参照ください。

出典 : 国税庁
令和3年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き
「手順6 ▶住民税、▶事業税に関する事項を記入する」の「▶事業税」に書き方が記載されています。

 

 

個人事業税の算出方法と控除

個人事業税額は、次の式で計算されます。

 

個人事業税額 =(収入 - 必要経費 - 各種控除 - 290万円)× 税率

 

290万円は、1年間事業を営んだ個人事業主が一律で受けられる「事業主控除」です。

 

ですから、1年間の事業所得が290万円に満たない場合は、個人事業税が課せられません。

 

もしも、事業を開始して1年に満たない場合は、「事業主控除」は月割りとなります。

 

たとえば事業開始から9ヵ月であれば、

 

290万円 ÷ 12ヵ月 × 9ヵ月 = 217万5千円

 

となります。

 

この場合は期間内の事業所得が217万5千円以下であれば個人事業税を払わなくてよいということです。

 

 

赤字の繰越控除

事業所得が赤字となった場合は、翌年以降3年間、繰り越して翌年以降の黒字と相殺することができます。

これを「繰越控除」と言います。

例えば、前年度が100万円の赤字で、今年度が200万円の黒字となった場合は、前年度のの100万円の赤字を繰越控除することができるので、今年度の事業所得は100万円となります。

「事業主控除」の250万円に満たないので今年度も個人事業税は非課税となります。

ただし、赤字の繰越控除ができるのは、青色申告している場合のみです。

 

 

 

個人事業主の消費税と控除

個人事業主も売り上げに対して消費税を納税しなければなりません。

 

しかし免税制度があります。

個人事業は、前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税に関しては免税事業者となり、納税しなくても良いのです。

 

したがって、課税対象売上高が1,000万円以上となった事業年度から起算して2年後に初めて消費税の納税義務が発生します。

 

但し、前々年の課税対象売上高が1,000万円以下でも、その翌年(つまり、前年)の1月1日から6月30日までの間に課税売上高が1,000万円を超えた場合は、課税事業者となって消費税を納税することとなります。

 

 

消費税の控除

事業売上げに付随する仕入れがあって場合、仕入れに関する消費税分が控除されます。

これを「仕入税額控除」と言います。

 

課税売上の消費税と課税仕入の消費税の差額を納税するということです。

 

例えば課税売上の消費税が10万円で、課税仕入の消費税が2万円の場合、

 

10万円 - 2万円 = 8万円

 

の消費税を納税することになるのです。

 

 

 

個人事業主の住民税と控除

個人事業主も当然ですが住民税を払わなければなりません。

サラリーマンと同じです。

 

住民税=均等割+所得割

 

住民税は、都道府県や市区町村によって多少の違いがあります。

 

でも、ほとんどの地域では次のようになっています。

 

所得割 = 前年度所得の10%

均等割 = 年額5,000円程度(都道府県や市区町村によって多少の違いあり)

 

詳しく書くと

 

所得割 = (所得金額-所得控除額) × 税率 - 税額控除額

 

所得税の計算式と同じ形をしていますが税率が違います。

 

もうひとつ、住民税と所得税では多くの項目で所得控除額が微妙に異なっています。

 

異なる項目を表にすると次のようになります。

所得税と住民税の控除の違い

所得控除の種類所得税住民税
生命保険料控除合計で最大12万円
(旧制度は10万円)
合計で最大7万円
地震保険料控除最大 5万円最大2万5千円
障害者控除一人につき
障害者    : 27万円
特別障害者   : 40万円
同居特別障害者 : 75万円
一人につき
障害者     : 26万円
特別障害者   : 30万円
同居特別障害者 : 53万円
寡婦控除        27万円        26万円
ひとり親控除        35万円        30万円
勤労学生控除        27万円        26万円
配偶者控除一般     : 最大38万円
老人     : 最大48万円
一般      : 最大33万円
老人      : 最大38万円
配偶者特別控除最大38万円最大33万円
扶養控除一般     : 38万円
特定     : 63万円
老人(同居以外) : 48万円
老人(同居)   : 58万円
一般     : 33万円
特定     : 45万円
老人(同居以外) : 38万円
老人(同居)   : 45万円
基礎控除        48万円        43万円

 

 

おわりに

いかがでしたか ?

個人事業主の税金とその控除についてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?

 

必要な税金は確実に納め、無駄な税金を払いすぎないよう、健全に事業を行いたいものです。

 

最後までお読みくださってありがとうございました。