個人事業主が年金を増やす方法が3つあります。
国民年金基金とiDeCoと(イデコ)、そして付加年金です。
そもそも個人事業主は会社員や公務員に比べて年金面では不利です。
なぜなら厚生年金に加入できないから。
つまり国民年金だけであり、2階建ての厚生年金部分がないからです。
でも、国民年金基金やiDeCoと(イデコ)、付加年金に加入することで、厚生年金がないことを補うことが可能となります。
ここでは個人事業主が年金を増やす3つの方法についてポイントを押さえて比較し、さらにそれらの併用についても解説しています。
加えて個人事業主の年金受給の減額についても解説しています。
個人事業主が年金を増やす方法
冒頭述べたように、個人事業主がもらえる年金は国民年金だけ。
会社員のように厚生年金の上乗せはありません。
もちろん個人事業主になる前に会社務めをしていれば、その間にかけた厚生年金は年金をもらう際に上乗せされますよ(被保険者期間が1ヵ月以上必要)。
ですから早くから個人事業主になった人は長く会社務めをした人に比べると将来もらえる年金は少ないのです。
そこで、個人事業主がもらえる年金を増やす方法をお伝えしましょう。
方法は次の3つです。
・国民年金基金
・iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)
・付加年金
これらはいずれも支払った金額を、国民健康保険や国民年金と同じく社会保険料控除として所得から全額控除できますから、税金面で有利になります。
順にご説明しますね。
国民年金基金
国民年金基金とは、国民年金に上乗せして加入することで、将来もらう年金を増やす仕組みです。
会社などに勤務している人、つまり第2号被保険者は厚生年金が国民年金に上乗せされますが、個人事業主などの第1号被保険者は厚生年金に加入できないので、その代わりになるのが国民年金基金と考えると分かりやすいですね。
国民年金基金は国民年金法の規定に基づく公的な年金で、全国国民年金基金という法人が運営しているものです。
対象となる人は次の通りです。
・20歳以上60歳未満で国民年金の第1号被保険者(個人事業主やフリーランス)の人
・60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人
・海外居住者で国民年金に任意加入している人
なお、次の人は国民年金基金に加入できません。
・厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員(国民年金の第2号被保険者)、及びその配偶者(国民年金の第3号被保険者)
・国民年金の第1号被保険者であっても農業者年金に加入されている人
国民年金基金の年金の受け取りは原則 65歳からです。
掛け金は加入時の年齢、性別によって変わり、10,000円から上限は68,000円となっています。
年金の受け取りは基本的に終身にわたって受け取ることができますが、2口目からは確定年金か終身年金のいずれかを選ぶことができますよ。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことで、確定拠出年金法に基づく私的な年金制度です。
個人事業主のほか、厚生年金に加入している会社員や公務員も加入することができます。
ただし、国民年金の被保険者の種類によって掛け金の上限が異なります。
第1号被保険者は上限が 68,000円で国民年金基金と同じです。
第2号被保険者のうち、公務員は上限が12,000円ですが、会社員の場合は企業年金加入者は12,000円~20,000円ですが、企業年金非加入者は23,000円が上限となっています。
また、専業主婦などの第3号被保険者は23,000円が上限です。
年金の受け取り開始は60歳~65歳で加入期間によって異なりますが10年以上加入していれば 60歳から受け取ることができます。
通算加入期間 | 受け取り開始可能年齢 |
10年以上 | 60歳 |
8年以上 10年未満 | 61歳 |
6年以上 8年未満 | 62歳 |
4年以上 6年未満 | 63歳 |
2年以上 4年未満 | 64歳 |
1ヵ月以上 2年未満 | 65歳 |
65歳前に受け取っても国民年金や厚生年金のように減額されることはありませんので、早くから受け取りたい人にとってはうれしいですね。
また、iDeCoの場合は、年金としてだけでなくく、一時金として、あるいは年金と一時金の組み合わせでも受け取ことができるという自由度の高さがあります。
付加年金
付加年金とは、国民年金に上乗せして支払うことで、将来もらえる年金を増やすことができる制度です。
ただし、
付加年金の掛け金は月額400円固定
となっています。
加入できるのは個人事業主を含む国民年金第1号被保険者か、任意加入被保険者です。
会社員や公務員などの第2号被保険者およびその被扶養物は加入できません。
受け取る年金額は、「納付月数×200円」が老齢基礎年金に加算されます。
また、受け取り開始年齢は老齢基礎年金と同じ65歳からとなります。
20歳~60歳までの40年間支払うと、受給開始から2年で支払った分のもとが取れます。
ここまでご説明した3つの年金制度をまとめて比較表にしておきますね。
個人事業主が追加で加入できる年金比較表
国民年金基金 | iDeCo (個人型確定拠出年金) | 付加年金 | |
加入対象者 (注 1) | ・国民年金第1号被保険者 ・国民年金の任意加入者 | ・国民年金第1号被保険者 ・国民年金第2号被保険者 ・国民年金第3号被保険者 | ・国民年金第1号被保険者 ・国民年金の任意加入者 |
掛け金 | 加入時年齢やプランによる 上限は月額 68,000円 | 月額5000円以上1000円単位 上限は国民年金の加入種類による | 月額400円 |
受取期間 | 終身 | 有期 5年以上20年以下の期間から1年刻みで選択可 | 終身 |
受け取り方 | 年金額<12万円の場合 年1回(偶数月のいずれかの月)年金額≧12万円以上の場合 年6回(偶数月) | 「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類から選択 年金の場合は年1~4回、6回、12回 から選択(注 3) | 偶数月 |
税金面 | 掛金は全額控除 受け取り時は雑所得として一定額まで非課税 | 掛金は全額控除 運用益もすべて非課税 受け取り時は年金、一時金どちらの受け取り方でも、一定額まで非課税 年金なら「雑所得」扱い | 掛金は全額控除 (年額 4,800円)受け取り時は雑所得として一定額まで非課税 |
年金受取 開始時期 | 原則65歳 (プランによって60歳) | 60〜65歳 (加入期間による) | 老齢基礎年金と同時(原則65歳) 60歳からの繰り上げも可だが減額される |
受取年金額 | 掛金と期間による | 掛金と期間による | 付加年金の年金額 =200円×付加保険料納付月数 (定額) |
(注 1) 国民年の被保険者の種類
・国民年金第1号被保険者 : 20〜60歳未満の個人事業主等
・国民年金第2号被保険者 : 会社員や公務員
・国民年金第3号被保険者 : 会社員や公務員の被扶養者(専業主婦等)
・国民年金の任意加入者 : 60歳以上65歳未満で国民年金加入期間が480ヵ月に満たないため追加で加入している人
(注 2) 企業年金加入者(退職金・企業年金あり) : 12,000円 / 企業年金加入者(企業型DCのみ) : 20,000円 / 企業年金非加入者 : 23,000円
(注 3) 年1回(12月) / 年2回(6月・12月) / 年3回(4月・8月・12月) / 年4回(3月・6月・9月・12月) / 年6回(偶数月) / 年12回(毎月)
年金の併用はできるか ?
以上、国民年金基金、・iDeCo(イデコ)、付加年金についてご説明してきましたが、これらを複数併用するとことできるでしょうか ?
できます。
次の組み合わせはOKなのです。
・iDeCoと国民年金基金
・iDeCoと付加年金
ただし、掛金に制限があります。
いずれの組み合わせでも合計額が 68,000円が上限となります。
iDeCoと国民年金基金の併用する場合は、
iDeCoと国民年金基金の両方を合計して月額6万8000円まで
が毎月拠出できる掛金の上限です。
また、DeCoと付加年金を併用する場合は、
iDeCo掛金の上限額は月額67,000円となります。
付加保険料は月額400円ですが、iDeCoの掛金月額は千円単位であるためです。
なお、国民年金基金と付加年金は併用不可ですよ。
個人事業主の年金受給に減額はあるか ?
働きながら年金を受けると減額されると言いますね。
在職老齢年金は収入の額に応じて老齢年金の一部または全額が停止されてしまいます。
でも、個人事業主に年金の減額はありません。
理由は、厚生年金に加入していないからです。
働きながら年金を受給すると減額されるのは、厚生年金に加入している人だけです。
個人事業主はそもそも厚生年金に加入できません。
なので年金をもらいながら働いていくら稼いでも、年金の減額対象にはなりようがないのです。
ただし、20歳から60歳までの40年間、480ヵ月年金保険料を払っていなければ満額はもらえませんよ。
払わなかった月数に応じてもらえる年金は減額されてしまいます。
追納は過去10年まで遡ってできますから、もしも過去に年金保険料の免除を受けたことがあるなら、可能な限り早めに追納しておくと良いですよ。
おわりに
いかがでしたか ?
個人事業主が年金を増やす3つの方法について、またそれらの併用についてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
個人事業主は厚生年金に加入できないというハンデがありますから、追加できる年金があることは将来の助けになります。
あなたのライフスタイルに合った年金を無理なく活用されることを検討されてはいかがでしょうか ?
最後までお読みくださってありがとうございました。