契約社員の更新をしない理由は正当なのか ?
今回も当然更新してもらえるものと期待していたのに、突然更新しないと言われた。
これって違法な雇止めでは ?
ここでは、契約社員を更新しない理由が正当かどうか、その判断基準について、さら雇止めを告げられたときの対処法について解説してゆきます。
契約社員の更新をしない理由
もともと契約社員と言うのは契約期間が到達したら更新するかしないかは会社の都合で判断する。
会社にとって都合の良い働き手として活用されていました。
でも、厚生労働省が推進する「働き方改革」の一環として契約社員の生活を守るために、会社は簡単に更新を拒否することはできなくなりました。
正当な理由がなければ契約社員の雇止めはできないのです。
それではさっそく、正当な理由とはどんなものか確認しておきましょう。
正当な理由
契約を更新しない正当な理由を厚生労働省が判例を類型化して次のように示しています。
・臨時的な業務である
・契約上の地位が臨時的、一時的なものである
・労使間において期間満了によって契約関係が終了することに明確な認識がある
・更新の手続きが明示された判断基準によって厳格に行われている
・更新回数が少なく、通算契約期間が短い
・同じような地位の労働者について、過去に雇止めの事例がある
参考 : 厚生労働省
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について
雇い入れのときに、会社から今回の仕事が一時的なもので、期間満了で終了することが明示されていれば雇い止めは問題ないことになります。
また、更新のときに雇用契約書に今回が最後で次の更新はないことを明記し、そのことを説明していれば正当な理由と言えます。
たとえば、「今やっていただいている業務はいついつまでで終了しますので、更新は今回で終わりとなりますから、そのつもりでいてください。」などの説明が会社側からなされていることが必要となります。
更新を拒否できない場合
では次に会社が契約更新を拒否できないケースを見ておきましょう。
・実質的に無期雇用と変わらない扱いをしてきた
・継続雇用を期待させる会社側の言動があった
実質的に無期雇用と変わらない扱いとは、複数回の更新があり、更新手続きも形式的なものであった場合が該当します。
継続雇用を期待させる会社側の言動とは、採用のときに「長く働いてくださいね。」とか、更新のときなどに「この先も宜しく頼むね。」なとど会社の担当者が言った場合などが該当します。
また、雇用期間が累計で1年以上となっている場合や、3回以上更新されている場合は、雇い止めの予告(解雇予告)を30日前までに労働者に伝えなければならないことになっています。
ただし、たとえ30日以上前に雇い止めの予告をしても、実質的に無期雇用と変わらない扱いをしてきた場合は、「グレー」です。
弁護士さんに聞いたところ、本人が納得しない場合は「配置転換」などで雇用を維持するのが望ましいとのことでした。
では次に契約更新をしないことに納得できない場合はどうしたら良いかお伝えしましょう。
契約社員が更新しないことに納得できないときの対処
「今回は更新しません。」と言われて納得できないときはどうしたら良いでしょうか ?
更新しない正当な理由がない場合は意義を唱えて良いのです。
裁判を起こす ?
正当な理由がなく納得できない場合は、裁判を起こすことも考えられます。
ただ、裁判を起こすのは大変です。
個人で裁判を起こすと多大な時間と労力、そして費用がかかり、とても維持できるものではありません。
じつは、会社も裁判を望みません。
会社の人事担当者だってそんなことに時間と労力を取られたくないのです。
ですから、できるだけ穏便に処理したいと考えます。
そこで、「交渉」の余地が生まれます。
交渉の仕方
納得できないときの交渉の仕方は2つあります。
・業務が無くなるのであれば「配置転換」を求める
・更新しない理由に納得できないとして更新を求める
配置転換が認められればその先も無期雇用同様に長く働ける可能性が出てきます。
もしも配置転換できる業務がない場合は、「最低でももう一回の更新」を交渉します。
「配置転換」ができなければ会社は「切りたい」わけですから、この先ずっと契約の更新を続けることは考えにくいです。
でも、最低でももう1回数か月の更新を約束させることはできる可能性があります。
特に前回の更新のときに、正当な理由の章で述べた「今回が最後の更新」であることを告げられていなければ、「そのことを明記した最後の更新をしてください。」と交渉すれば受け入れられる可能性は高くなります。
そして、延長された期間で次の就職先を探すことができます。
雇い止めの正当性についてはあいまいな部分が多いので、会社も話し合いに応じてくれる可能性が十分にありますよ。
先ずは試してみてください。
契約社員の契約更新しないのは会社都合か ?
次に、契約更新されなかった場合の失業保険(正しくは「雇用保険」の基本手当)について確認しておきましょう。
退職が自己都合なら7日間の待機期間と2ヵ月の給付制限期間がありますが、会社都合なら7日間の待機期間のあとすぐに失業保険をもらうことができます。
契約社員が契約更新されなかった場合はどちらに該当するでしょうか ?
結論は「自己都合」です。
でも扱いは「会社都合」と同等になります。
契約更新されなかった場合は「特定理由離職者」または「特定受給資格者」に該当するからです。
次のケースに該当する人は特定受給者として7日間の待機期間のあとすぐに失業保険をもらうことができます。
・期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
この場合は「特定理由離職者」として2ヵ月の給付制限期間は適用されませんので7日間の待機期間のあとすぐに失業保険をもらうことができます。
自己都合ではあるけれど会社都合と同じ扱いとなるのです。
・期間の定めのある労働契約の更新によって 3 年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
この場合は「特定受給資格者」として、給付制限期間が適用されないだけでなく、受給期間が一般の受給資格者に比べて長くなるという優遇措置が受けられます。
どれくらい長く受給できるかは、次の記事に詳しくまとめてありますのでご参照ください
派遣社員は期間満了で失業保険がすぐもらえる ?
派遣社員向けの記事ですが、「特定受給資格者」となる場合は同じ扱いとなります。
おわりに
いかがでしたか ?
契約社員の更新をしない理由として政党なケース、会社が更新を拒否できないケース、更新しないと言われた時の対処、さらに雇い止めで失業したときの失業保険の扱いについて解説してきましたが、参考になりましたでしょうか ?
契約社員も正社員も働く価値に違いはありません。
納得できる職場で働けますように。
最後までお読みくださってありがとうございました。