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うつ病への支援・お金編~傷病手当金と障害年金を徹底解説

うつ病で働けなくて・・・お金が心配になってきたわ。

うつ病への支援にはどんなものがあるでしょう ?

うつ病になると、程度にもよりますが働けなくなってしまう場合があります。

当然、経済的に苦しくなる。

 

そんなとき、お金の面で受けられる支援にはどんなものがあるのか ?

 

ここではうつ病への支援としてお金の面で傷病手当金と障害年金について解説していきます。

 

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うつ病への支援はお金の面で3つある

うつ病で働けないとき、受けられる可能性のあるお金の支援は次の3つあります。

・傷病手当金
・障害年金
・生活保護

 

ここでは生活保護以外の傷病手当金と障害年金について、受けられる条件と額をご説明します(生活保護については機会を改めて解説予定)。

 

うつ病で傷病手当金をもらう条件と金額

傷病手当金は、健康保険に加入している人が、病気やケガで休職したときに受けられるものです。

うつ病で休職したときも対象となります。

まずは条件を見ておきましょう。

 

 

傷病手当金の受給条件

①協会けんぽなどの健康保険に加入していること(国民健康保険は対象外)
②病気やケガの原因が仕事以外であること
③働けないこと
④連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
⑤休んでいる間に会社から給与の支払いがないこと

 

傷病手当金の額を試算してみる

傷病手当金の額はざっくり言うと給料の3分の2 です。

 

傷病手当金の額≒3分の2

 

正確に言うと、傷病手当金の支給開始日以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額の3分の2 となります。

 

標準報酬月額は、給料の等級みたいなものと思ってください。

 

例えば給料(基本給+役職手当+家族手当など)が25万円なら標準報酬月額は26万円となります。

協会けんぽホームページに地域ごとの標準報酬月額一覧が掲載されていますよ。

被保険者の方の健康保険料額(令和2年9月~)

 

傷病手当金の試算

月給が25万円として試算すると、次のようになります。

単純化のため、12ヵ月間給料が変わらなかったとしますね。

 

傷病手当金の日額は

標準報酬月額260,000円÷30(10円未満四捨五入)×2/3(1円未満四捨五入)=5,778円

 

仮に30日うつ病で休職したとすると、もらえる傷病手当金は

5,778円×30=173,340円

となります。

 

 

傷病手当金をもらえる期間

最長で1年6ヵ月です。

傷病手当金の支給期間は支給を開始した日から通算で1年6ヵ月間です(注)。

 

(注) 傷病手当金の支給期間が変更されました

2022年1月1日施行の改正健康保険法により2022年4月1日以降は次のように変わりました。

・改正前 : 支給日から起算して1年6ヵ月が経過すると支給は終わり
・改正後 : 支給日から通算して1年6ヵ月支給される

欠勤と欠勤の間に出勤した時期があった場合、受給者に有利になりました。

参照 :
厚生労働省リーフレット

 

健康保険の被保険者期間が資格喪失日(つまり退職の前日)までに1年以上継続していれば、退職後も支給開始日から1年6ヵ月まで受給可能です。

 

なお、傷病手当金は一時的に生活費を補うものです。

まんいち働けない状態が長く続く場合はほかの制度の活用が必要になります。

 

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うつ病で障害年金をもらう条件と金額

うつ病でも障害者の認定を受けて障害年金をもらえる可能性があります。

 

精神の障害には1級から3級の等級があって、1級が一番重い障害です。

うつ病の場合は2級か3級の障害と認定される可能性があります。

 

障害等級が1級か2級でなければ障害基礎年金はもらえません。

3級の場合は障害厚生年金が支給されます。

 

 

障害の等級とは

障害の等級を分かりやすく表にしてみました。

 

精神障害の等級

等級 精神の状態 生活の支障(例)
1級 高度の気分、意欲・行動及び思考の障害があり、持続したり、ひんぱんに繰り返したりする ・食事、入浴、更衣など日常生活の用ができない。
・金銭管理能力がなく、計画的で適切な買物ができない。
・通院・服薬を規則的に行うことができない。
・家族や知人・近隣等と適切な意思伝達ができず、協調的な対人関係を作れない。
そのため、常に援助を必要とする
2級 気分、意欲・行動及び思考の障害があり、持続したり、ひんぱんに繰り返したりする ・食事、入浴、更衣など日常生活の用が援助なしにできない。
・金銭管理や計画的で適切な買物は援助なしにできない。
・通院・服薬を規則的に行うことは援助なしにできない。
・家族や知人・近隣等と適切な意思伝達ができず、協調的な対人関係を作れない。
援助を要するが1級ほどではない
3級 気分、意欲・行動及び思考の障害があり、症状は著しくはないが、持続したり、ひんぱんに繰り返す ・食事、入浴、更衣など日常生活の用は自発的に行うことができるがなお援助を要する。
・金銭管理や計画的で適切な買物はおおむねできるがなお援助を要する。
・規則的な通院・服薬はおおむねできるがなお援助を要する。
・家族や知人・近隣等と適切な意思伝達や協調的な対人関係づくりはなお十分とはいえず不安定である。
概ね自発的にできるが不十分である

 

 

等級の判断は年金事務所が行います。

 

障害年金の申請はどうする ?

「病歴・就労状況など申立書」に医師の診断書を添えて年金事務所に提出します。

いずれも所定のフォームがありますので年金事務所から貰って記入します。

 

記載要領とあわせて、日本年金機構の「病歴・就労状況等申立書を提出するとき」からダウンロードすることもできますよ。

病歴・就労状況等申立書を提出するとき

 

 

特に医師の診断書では一人では十分にできないことを具体的に書いてもらうと障害者として認定される可能性が高くなります。

 

そのためには口頭説明だけでなく、自分で「困難なこと」をメモなどにまとめて医師に提出すると医師が診断書を書きやすくなります。

 

 

障害年金の受給要件

申請が通るためには次の4つ必須条件です。

 

障害年金の受給要件

①初診日から1年6ヵ月が経過していること
②初診日が特定できる医師による証明が可能であること
③初診日の前日において保険料の納付要件を満たしていること
④認定日もしくは現在において診断書が書いてもらえること

 

 

③保険料の納付要件についてもう少し詳しく書いておきますね。

 

保険料の納付要件

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること。
(1)初診日の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の間保険料を納付していること(免除も可)
(2)初診日が65歳未満であり、その前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要。

 

 

じつは、障害年金の受給要件のうちで意外と難しいのが「初診日」の証明です。

うつ病の場合はなかなか症状が改善しなくていくつか病院を転々とする場合があります。

そして医療機関のカルテの保存期間は5年間なので、既に最初にかかった病院でカルテが廃棄されてしまって、初診の日の特定がしにくいことがあるからです。

 

その場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」の提出が必要となります。

 

2番目にかかった病院に、最初の受診医療機関の名称や初診日が記入された医師等の受診状況等証明書を記入してもらってください。

 

 

障害年金はいくらもらえるか試算してみる

障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金の二階建てとなっています。

それぞれ次の通りです。

 

障害基礎年金

2021年1月時点では、障害基礎年金の金額は次の通りです。

 

障害基礎年金額
(年額)
1級 977,125円
2級 781,700円

 

また、子供がいると加算されます。

 

子の加算 1人目 224,900円
2人目 224,900円
3人目以降 75,000円/人

 

ここで言う「子」とは、

・18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子
・20歳未満で1級または2級の障害のある子

を言います。

 

あと、障害基礎年金の受給者には、さらに障害年金生活者支援給付金の加算がありますよ。

 

障害年金生活者支援給付金(月額) (1級)6,288円
(2級)5,030円

 

 

仮に独身で障害等級2と認定されたとすると、

 

障害年金月額

=781,700円÷12(1円未満切捨て)+5,030円

=65,141円+5,030円

=70,171円

 

となります。

 

厚生年金に加入していればさらに障害厚生年金が加算されます。

 

 

障害厚生年金

同様に2021年1月時点では障害厚生年金の金額は次の通りです。

 

障害等級 障害厚生年金(年間)
1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額
2級 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額
3級 報酬比例の年金額(最低保障額586,300円)

 

ここで、「報酬比例の年金額」とは、「標準報酬月額」から計算されるものです。

「標準報酬月額」は、傷病手当金のところでご説明した通りです。

 

「報酬比例の年金額」は平成15年3月までと4月以降で係数が違ってきます。

 

報酬比例の年金額 = 平均報酬月額×7.5/1,000×A+平均報酬月額×5.481/1,000×B

 

A: 平成15年3月までの被保険者期間の月数

B: 平成15年4月以降の被保険者期間の月数

 

試算してみましょう。

傷病手当のときと同様に月給が25万円とします。

月給は働くうちに変わるのが普通ですが、ここでは単純化のため就職したときからずっと25万円だったとして試算します。

 

また、平成15年3月までは14年間、平成15年4月4 月以降は16年間働いたと仮定します。

 

すると係数A、Bはそれぞれ

A=14年×12ヵ月=168ヵ月

B=16年×12ヵ月=192ヵ月

 

報酬比例の年金額

= 260,000円×7.5/1,000×168 + 260,000×5.481/1,000×192

= 327,600円+273,611円

= 601,211円

 

1ヵ月あたり601,211÷12=50,100円となります。

 

したがって1ヵ月あたりの障害年金は障害基礎年金と合わせて

 

70,171円+50,100円=120,271円となります。

 

注意すべきことは、年金は2花月ごとの偶数月に振り込まれるということです。

 

この例では、偶数月ごとに120,271円×2=240,542円が振り込まれることになります。

 

 

参考 : 日本年金機構
障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法
障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

 

 

おわりに

いかがでしたか ?

うつ病で働けなくなってしまった時に受けられる支援として、傷病手当金と障害年金についてご説明してきましたが、参考になりましたでしょうか ?

 

ストレスの多い状態では、うつ病は誰でもなり得る病気です。

そして一旦うつ病になると治癒するのに長くかかったり、人によってはさらに症状が進んで統合失調症に至ることがある厄介な病です。

 

もしあなたがうつ病で働けなくなってしまったら、受けられる支援は積極的に活用して生活を維持されますよう願っています。

 

最後までお読みくださってありがとうございます。