退職するとき、引継ぎは義務でしょうか ?
引継ぎを拒否したら損害賠償を求められることがあるのでしょうか ?
一方では職業の自由という法律で守られた権利があって、退職の意志を伝えたら2週間で辞めることができるということもあります。
ここでは退職するとき引継ぎは義務なのか、引継ぎしないとどうなるのかについて解説してゆきます。
退職するとき引継ぎは義務か~拒否したらどうなる ?
一般的に言って、退職するときに後任者に引継ぎをするのが普通です。
残ったかつての仲間たちに迷惑をかけないためです。
でも、時には引継ぎしたくない場合もあるでしょう。
パワハラを受けて辞めるときや後任者がとても嫌な相手だったら引継ぎなんてしたくないですよね。
問題は、引継ぎは義務で、引継ぎしないと損害賠償を請求されることがあるのか ? ということです。
法的にはあり得るようです。
実際に損害賠償が認められた例があります。
でも、条件があります。
次の3つです。
・引継ぎをしないことに悪意があること
・会社が実際に損害を被っていること
・会社の損害が引継ぎをしなかったことに気員していること
これらが証明されれば損害賠償請求が認められてしまいます。
例えば、引継ぎをしなかったために
・プロジェクトが失敗して会社に損害を与えた
・取引先を失った
などという場合は悪意が認められれば損害賠償の可能性大です。
パワハラでうつ病になって引継ぎなんてできないという場合は悪意があるとはみとめられないでしょう。
でも、万一引継ぎをしないことで会社から訴えられたら迷わず弁護士に相談することです。
あと、会社が後任者を決めてくれない場合も、当然ですが引継ぎはできません。
これは本人の責任ではなく、会社の責任です。
退職代行で引継ぎなしで辞めるのはOKか ?
「退職代行」というサービスがあります。
おおよそ2万円台から5万円程度で本人に代わって退職の手続きをしてくれるサービスです。
ネットて検索すれば多数の業者が見つかります。
注意すべき点は、
退職代行では本人に代わって引継ぎはしてくれない
ということです。
多くの場合は引継ぎをしなくても上の章で述べた通り損害賠償責任を負わされることは有りません。
しかし実際に会社に損害を与えることになってしまった時は訴えられることもあり得ますから、注意が必要です。
退職で訴えられないために
何らかの理由で引継ぎせずに辞める場合、退職後に会社から訴えられないようにするために次の2つのことをやっておくと良いです。
・引継ぎ資料を作っておく
・退職メールで感謝を伝える
・退職届はきっちり提出する
引継ぎ資料を作っておく
実際に対面での引継ぎが無理な場合は引継ぎ資料を作ってそれを上司に渡すことをおすすめします。
引継ぎ資料とは業務内容をまとめたものです。
これさえ作っておけば少なくとも悪意があって引継ぎをしなかったとみなされることはないでしょう。
渡し方はメール添付でも、共有フォルダに入れてその旨をメールで伝える方法でも良いでしょう。
そして、そのメールは印刷して自分で保有しておくと良いです。
確かに引継ぎを行ったというエビデンスとして残すのです。
これは万一対面の引継ぎをしないことで訴えられた時の防御に役立ちます。
引継ぎ資料には次のことを記載しておきます。
・自分が担当してきた取引先のリスト(会社名、担当者、電話番号、メールアドレス)
・業務に関する資料の保管場所
・業務の手順、業務フロー等
引継ぎ資料の作り方についてもっと知りたい方はこちらに詳しくまとめてありますのでどうぞ。
退職の引継ぎ資料の作り方~失敗しないコツを伝授
退職メールで感謝を伝える
退職の際に関係者に挨拶メールを出しておきます。
その中で感謝を伝えることでたとえ顔を出さなくても円満退職の形を作ることができます。
ポイントは次の3つです。
・感謝を伝える
・辞める理由は書かない
・社外には出さない
社内への退職挨拶メールの例文はこちらをご参照ください。
退職の挨拶はメール(例文付き)で~タイミングと注意点も !
ただし、引継ぎを前提とした記事ですので、次の点が違ってきます。
引継ぎをしない場合は後任者はいませんし、社外には送りません。
退職後に社外から連絡があった場合は会社がしかるべく対応することになります。
退職届はきっちり提出する
退職届を出さずに出社しなくなると単なる無断欠勤となってしまいますし、離職票ももらえません。
「解雇」扱いされても文句は言えないのです。
もしも上司が退職届を受け取ろうとしない場合は、郵送します。
この場合は簡易書留かレターパックにして、必ず届いた証拠を残しておきましょう。
おわりに
いかがでしたか ?
退職するとき引継ぎは義務なのか、拒否したら損害賠償を請求されることがあるのか、また、そうならないためにはどうしたら良いかについてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
基本は退職する際はきちんと引継ぎをすることです。
ですが、引継ぎ相手がいない、上司と合いたくない、パワハラでもう会社に行きたくないなど様々な要因で引継ぎできない、したくない場合があります。
そんなときは最低限資料を残しておくことで、損害賠償を免れる材料となります。
この記事がお役に立てば幸いです。
最後までお読みくださって有難うごさいました。