就活を頑張ったけど、結局就職できなくてニートになってしまった。
ニートは年金をどうしたらいいのでしょうか ?
働かないと年金(厳密には年金保険料)払えないですよね ?
でも年金を払わないと年を取ってから年金がもらえないのでは・・・とても不安。
結論を言います。
次のいずれかで将来最低でも老齢基礎年金を確保することができます。
・世帯主の親と同居しているなら「猶予」を申請
・親と世帯が別であれば「免除」を申請
そして、いずれの場合も経済的に余裕ができたら「追納」をすることをおすすめします。
将来受け取ることができる年金の額に影響するからです。
ここではニートになったら年金の支払いをどうしたらよいのかについて詳しく解説してゆきます。
そもそも年金制度ってどんなもの ?
年金には20歳以上なら誰でも加入することになっている「国民年金」とサラリーマンなどの給与所得者が加入する「厚生年金」があります。
「厚生年金」保険料を払うと自動的に「国民年金」保険料も支払われていることになります。
そして、将来年金を受け取るためには一定期間以上加入している必要があり、この期間を受給資格期間といいます。
この言葉、あとで出てきますから覚えておいてくださいね。
そして、
老齢基礎年金を受け取るための受給資格期間である10年間は保険料を支払う必要がある
のです。
では、年金の保険料を払わないとどうなるのか確認しておきましょう。
年金を払わないとどうなる ?
日本では、国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入しなければなりません。
もし国民年金の保険料を払わないとこんな不都合なことが起ります。
・万一の場合の障害基礎年金、遺族基礎年金が受けられない
・65歳になっても老齢基礎年金が受けられない
・督促状が来ても払わないと財産を差し押さえられる
国民年金の保険料を納めることで、将来老齢基礎年金を受け取ることができるのです。
また、万一障害者になってしまった時に障害基礎年金を、将来年金を受けていた配偶者が亡くなったときには遺族基礎年金を受けることもできます。
でも、就職できなくて収入がないと、厚生年金や国民年金の保険料を払うことができない場合がありますよね。
そこで、そんなときの対処法をお伝えしましょう。
年金を払えないときの対処法
年金を払わなくても最低限の老齢基礎年金や遺族年金をもらう方法があります。
そのための対処法は2つ。
・猶予を受ける
・免除を受ける
「猶予」と「免除」の大きな違いは、払わなかった場合の将来の年金に及ぼす影響と、所得の審査対象の2つです。
・免除の場合は、将来もらえる年金が減額されますがゼロにはなりません
・猶予の場合は、もし後で払わないとその期間分の年金はゼロになります
・所得の基準が免除の場合は本人・配偶者のほかに世帯主の所得も対象となります
・猶予の場合は本人・配偶者のみの所得
まずは簡単にまとめておきましょう。
猶予 | 免除 | |
対象者年齢 | 20歳以上50歳未満 | 20歳以上60歳未満 |
受給資格期間への参入 | される | される |
所得基準 | 本人・配偶者の所得のみで判断 | 本人・配偶者および世帯主の所得 |
受け取る年金額への影響 | 後から保険料を払わないとその期間の年金額がゼロになる | 免除の割合に応じて減額 |
障害者・遺族年金への影響 | あり | あり |
それではそれぞれもう少し詳しく解説しますね。
年金猶予
年金猶予は文字通り「猶予」ですからあとで払わないと「未払い」と同じに扱われてしまいます。
結果的に将来受け取れる老齢基礎年金の額が少なくなってしまうのです。
ですから、猶予してもらったら必ず後で払う必要があります。
猶予期間は ?
各月ごとに10年間です。
10年を過ぎた分は後から払うことはできませんので、払えるようになったら忘れずに払いましょう。
猶予の所得条件は ?
前年所得が次の計算式で計算した金額の範囲内であることです。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
独身なら35万円+22万円 = 57万円
基準は「所得」ですので、収入に換算するとこの場合122万円となります。
学生時代のアルバイト収入が122万円以上あると「猶予」してもらえません。
「猶予」は世帯主の親の所得は条件ら含まれませんので、親と同居している場合は次に述べる「免除」より通り安いですよ。
年金免除
年金の保険料の免除を申請して承認されると、年金保険料を払わなくても免除期間が受給資格期間に参入されます。
支払った期間と免除期間を通算して10年以上になれば65歳になった時点で老年基礎年金をもらうことができるのです。
ただし、受け取る年金は免除したことによって減少します。
なお、免除の種類は所得に応じて、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります。
免除の所得条件は ?
免除の所得条件は免除の種類によって異なります。
免除の種類 | 所得基準(前年度所得が下記未満であること) |
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 |
4分の3免除 | 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
半額免除 | 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
4分の1免除 | 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
出展 :
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
全額免除の所得基準は、猶予の所得条件と同じです。
つまり前年度の収入に換算すると122万円です。
もし、親と同居していれば世帯主の所得も加算されますから、たいていはアウトです。
年金免除を通すには
年金の免除を申請するなら住民異動届を出して世帯分離をすると良いです。
そうすることで、親の所得は審査対象から除外されますから、年金の猶免除が通る可能性が高くなります。
前年度のアルバイトの所得を確認して57万円未満(収入にして122万円未満)なら、世帯分離することで年金を全額免除してもらうことができますよ。
年金の猶予や免除の申請はどこに何を持ってゆく ?
市区町村役場の国民年金担当窓口に「国民年金保険料免除 ・ 納付猶予申請書」を提出します。
「国民年金保険料免除 ・ 納付猶予申請書」は日本年金機構の国民年金に関する手続きからダウンロードできます。
なお、申請書は郵送でもうけつけてくれますよ。
ちなみに申請の際には市税事務所などが発行する「所得証明書」が必要です。
でも、所得が57万円未満の場合は、」免除等申請書の「前年所得」欄に「なし」と記入することで、「所得証明書」の添付を省略することができますよ。
免除されたら受け取るときはいくらになるのか ?
免除された期間については将来受け取れる年金額が減りますが、ゼロにはなりません。
免除の種類 | 受け取れる年金額 |
全額免除 | 本来年金の2分の1 |
4分の3免除 | 本来年金の8分の5 |
半額免除 | 本来年金の8分の6 |
4分の1免除 | 本来年金の8分の7 |
年金を免除してもらったら後から払えない ?
免除を受けた場合は後から支払う義務はありませんが、受け取る年金が減ってしまいます。
でも、後で経済的に余裕ができたら追納することができます。
それによって受け取る年金額の減少を抑えることができますよ。
免除の場合も猶予と同じで各月ごとに10年以内であれば追納が認められます。
さらに、追納した分は社会保険料控除となるので、所得税・住民税が軽減されるというメリットがあります。
追納のメリット
・将来うけとる年金額の減少を抑えられる
・所得税・住民税が軽減される
おわりに
いかがでしたか ?
ニートは年金の支払いをどうしたらよいかについてお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?
将来、老齢基礎年金をしっかり受けるためには年金保険料を支払うのがベストです。
でも、どうしても払えない時には「免除」や「猶予」の申請をして「受給資格期間」を確保することで、最低限の老齢基礎年金を受けることができます。
しかも10年間は追納することが認められますから、年金額を極力減らさないようにすることが可能です。
どうかこのことを忘れないで、将来に備えてくださいね。
最後までお読みくださってありがとうございました。