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労災と傷病手当はどっちが得 ? うつ病なら同時申請がおすすめ

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

労災と傷病手当 どっちが得 ?

労災と傷病手当はどっちが得でしょう ?

 

うつ病で働けなくなったとき、たいていは健康保険組合に傷病手当(正しくは傷病手当金)を申請しますね。

 

でも、もしも原因が上司のパワハラやセクハラ、あるいは過度な長時間労働にある場合は労災の申請も可能です。

 

ここでは、うつ病で働けなくなったとき労災と傷病手当ではどっちが得か、受給できる金額や受給期間、認定の難易度について比較して解説してゆきます。

 

(注意)「傷病手当」と「傷病手当金」

非常に似た名称なので間違えやすいですが別物です。
傷病手当  : 雇用保険の制度で失業者に対して支給する手当
傷病手当金 : 健康保険の制度で基本的には在職者に対して支給する手当

一般的に健康保険の「傷病手当金」を「傷病手当」と呼ぶことが多いのでここでも「傷病手当」で通しています。

 

 

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傷病手当と労災保険とどっちが得 ?

傷病手当と労災保険とどっちが得か、ここでは次の3つの項目から比較してゆきます。

 

・認定の難易度
・受給額
・受給期間

 

認定の難易度

認定の難易度は圧倒的に労災保険の方が難しいです。

傷病手当の方が容易。

 

特にうつ病での労災認定は難しいものとなります。

そして認定までには早くて3ヵ月、長い場合は1年以上かかる場合もあります。

 

理由は精神的なものなので、業務との因果関係を証明しにくいこと、また、会社が証明に協力してくれないケースが多々あるためです。

 

詳しい解説と対策についてはこちらをご参照ください。

うつ病で労災の認定は難しい ! 理由と対策を解説

 

それに対して傷病手当は医師の証明と休職中に出勤がなかったこと、賃金を支払っていないことを会社が証明すれば間違いなく認定されます。

 

 

受給できる金額

労災保険と傷病手当につき、それぞれ受給できる額を確認しておきましょう。

労災保険の額

うつ病で働けなくなり、労災認定されると、退職しても治るまで「給料の80%」が支給され「治療費も無料」となります。

 

細かく言うと、休業(補償)給付が60%、休業特別支給金が20%であわせて80%の支給となるのです。

 

休業(補償)給付 =(給付基礎日額の60%)×休業日数

休業特別支給金 =(給付基礎日額の20%)×休業日数

 

ここで給付基礎日額とは、直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った一日当たりの賃金額のことです。

 

直前3か月間に賞与があったとしても、3ヵ月を超える期間ごとに支払われるものならば除外しますよ。

 

傷病手当の額

一方、傷病手当の額は標準報酬月額÷30日×2/3×日数

ここで標準報酬月額は支給開始日以前の12ヵ月の各月の平均の標準報酬月額です。

 

傷病手当と労災保険の支給額の比較

仮に給料が25万円の人なら標準報酬月額は26万円なので30日間分支給されるとしたら

 

26万円/30日×2/3×30日=17万3千円(およそ)です。

 

労災保険なら25万円×80%=20万円ですから、

 

あきらかに労災保険の方が傷病手当より多くもらえます。

 

 

受給できる期間

しかも傷病手当金は最長で1年6ヵ月で打ち切られますが、労災保険の休業補償給付は療養開始から1年6ヶ月が経過しても治っていない場合は、そのまま支給され続けます。

 

休業補償の支給要件に該当しなくなるまで受給することができるのです。

 

なお、病気やケガの具合が、傷病等級第1級から第3級に該当する場合、休業補償給付の代わりに等級に応じた傷病補償年金が支給されます。

 

傷病手当と労災保険の比較表

労災保険と傷病手当を比較表にしておきます。

 

支給額支給期間認定の難易度
労災保険給付基礎日額の80%×日数治癒するまで会社の責任を問われるので協力が得られにくい。審査が厳しく認定されにくく、また時間がかかる
傷病手当標準報酬月額÷30日×2/3×日数最長1年6ヵ月会社の責任を問われることはなく会社が証明してくれるので間違いなく認定される

 

 

以上から傷病手当よりも労災保険の方が随分と手当が厚く有利と言えます。

 

ですから、業務上の理由でうつ病になって働けなくなった場合は労災をもらった方が得なのです。

 

とは言え、すでに述べたとおり、特にうつ病の場合は労災申請はなかなか認定されにくい。

ではどうしたら良いか ?

 

傷病手当と労災の両方を同時に申請することです。

 

では傷病手当と労災の申請手続きについてご説明しましょう。

 

 

申請の手続き

傷病手当も労災も、申請書には本人記入のほかに、会社(事業主)が記入すべき部分と医師に記入してもらう部分があります。

 

それぞれの申請手続きについご説明します。

 

傷病手当の申請手続き

例えば. 協会けんぽなら本人記入ページが2枚、医師、会社が記入するページがおのおの1ページずつあります。

 

  1. 協会けんぽなどの健康保険組合から傷病手当金支給申請書を取り寄せる
  2. 本人記入ページに記入する
  3. 医師に療養担当者記入ページを記入してもらう
  4. 会社に事業主記入ページを記入してもらう
  5. すべての記入が終わったら、健康保険組合へ傷病手当金支給申請書を提出する

 

申請は会社を経由して行うのが一般的ですが、本人が直接郵送しても良いです。

例えば協会けんぽなら、申請書を受け付けてから2週間程度で傷病手当金が振込されます。

 

 

労災の申請手続き

労災の休業補償給付の請求手続きは次の通りです。

 

  1. 様式第8号「休業補償給付請求書・休業特別支給金支給申請書」を記入
  2. 事業主の証明を受ける
  3. 診療担当医師の証明を受ける
  4. 所轄労働基準監督署長に提出する
  5. 労働基準監督署による調査
  6. 労働基準監督署から通知書が届く

 

様式第8号は厚生労働省のホームページからダウンロードてきますよ。

厚生労働省
労災保険給付関係請求書等ダウンロード

 

ここで、事業主が証明してくれない場合はどうしたら良いでしょう ?

その場合は、事業主証明の欄を空欄のまま労基署に労災申請を提出します。

 

提出の際は、会社が労災申請に協力をしてくれない理由を伝え、事業主証明が不備であることを申し添えます。

 

労災が認定されるかどうかは、あくまでも労働基準監督署が調査の結果に基づいて行うので、事業主証明の有無には関係ありません。

 

ここで注意することは、申請から認定までに6か月から1年程かかるということです。

 

そこで、既にお伝えしたように、傷病手当を同時に申請しておきます。

 

傷病手当と労災の同時申請

では次に、傷病手当と労災の両方を同時に申請するときの注意点と流れについてご説明します。

 

基本的に、傷病手当と労災保険を同時にもらうことはできません。

上で診たように、労災の方が金額も受け取れる期間も傷病手当より有利ですから、労災保険を狙いたいところです。

でも、労災は認定されにくくまた時間もかかる。

 

そこで、傷病手当と労災の両方を同時に申請しておいて、先ずは当面傷病手当をもらっておく。

 

次に労災が認定されたら、傷病手当から労災に切り替えます。

 

注意点は、

労災が認定されたら既にもらった傷病手当金を全額返金する必要がある

ということです。

 

でも、労災保険の方が額が大きいので返金に支障はないのです。

 

 

そして注意点をもうひとつ。

それは、傷病手当を申請するときに、「労災が認められた場合、傷病手当金を返還する」旨を書いた「誓約書」または「確認書」を健康保険組合に提出しなければ、同時申請が認められないということです。

 

不正受給を防ぐための措置ですので、きちんと「申告」しておきましょう。

 

ちなみに労災の申請ときにはこのような「誓約書」とか「確認書」の提出は求められません。

 

 

おわりに

いかがでしたか ?

労災と傷病手当はどっちが得か、両方の比較とうつ病の場合は同時申請がおすすめであることをお伝えしてきましたが、参考になりましたでしょうか ?

 

うつ病で働けなくなったとき、労災保険や傷病手当金は大きな支えとなってくれます。

 

可能な限り活用しながら治療ができると良いですね。

 

最後までお読みくださってありがとうございました。