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うつ病で労災の認定は難しい ! 理由と対策を解説

うつ病で労災の認定は難しいのかしら・・

うつ病で労災の認定は難しいと言われています。

 

長時間労働や上司のパワハラでうつ病になってしまい、働けなくなった場合、休職してその間は傷病手当金を申請することが一般的と考えられますね。

 

でも、それ以外に労災の認定を受けて労災保険を受給するという手もあります。

じつは労災保険の方がもらえる額と期間の両方において傷病手当よりも有利なのです。

 

ところが、うつ病の場合は労災の認定は非常に難しいという現実があります。

 

理由として次の2つがあげられます。

 

・業務だけでなく私生活も判断される
・会社が協力してくれない

 

ここでは、うつ病で労災の認定は難しい理由を詳しく説明した上で、認定されるための対策について解説してゆきます。

 

 

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労災の認定条件とは

はじめに、うつ病が労災と認められる条件を見ておきましょう。

 

条件は次の3つすべてを満たす必要があります。

 

労災の認定条件

①認定基準の対象となる精神障害を発病していること
②発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

出典 : 厚生労働省 精神障害の労災認定

 

 

 

うつ病で労災の認定は難しい理由

冒頭でうつ病で労災の認定は難しい理由について簡単に触れましたが、詳しくご説明しましょう。

 

上記認定条件との関係で説明してゆきます。

 

 

業務だけでなく私生活も判断される

労災と認められる条件をひとつずつ確認しましょう。

①認定基準の対象となる精神障害を発病していること

うつ病は労災の認定基準の対象となる精神障害のひとつですから、この条件は満たします。

 

問題は条件の②と③です。

 

業務との因果関係が認められるだけでなく私生活がうつ病の原因になっていないこと

が条件なのです。

 

②業務による強い心理的負荷が認められること

これは、例えば発病前の1ヵ月間に160時間以上の時間外労働があったとか、発病前6ヵ月あるいはそれ以前からパワハラ、セクハラが繰り返しあったなど、総合的に判断されます。

 

その際に用いられるのが「業務による心理的負荷評価表」です。

先に引用した厚生労働省の「精神障害の労災認定」に別表1として掲載されています。

 

判定項目が37もありますのでここでは掲載しません。

 

 

具体的な個々の出来事を、この「業務による心理的負荷評価表」に当てはめて評価していきます。

 

そして、総合評価で「強」に評価されることが労災として認定される条件です。

 

③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

こちらは同じく「精神障害の労災認定」に別表2として掲載されている「業務以外の心理的負荷評価表」でチェックしてゆきます。

 

判定項目は出来事の類型として自分の出来事、家族の出来、金銭、災害、住環境、他人との関係の6つ、具体的出来事して離婚、別居、ケガなど32あげられています。

 

それらの一つ一つについて心理的負荷の強度を確認して判断されるのです。

 

「業務以外の心理的負荷評価」が「強」であれば業務が原因ではないとして労災の認定がおりない可能性が出てきます。

 

例えば会社でパワハラを受けたが家庭では夫婦間の不和があって離婚した場合などは、必ずしもパワハラがうつ病の原因とは言えなくなってしまうということです。

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会社が協力してくれない

うつ病で労災の認定は難しい理由のひとつとして、会社が協力してくれないことがあげられます。

 

労災の休業補償の申請書には本人が記入する欄のほかに、会社の証明欄と医師の証明欄があります。

 

うつ病の診断をした以上、医師の証明は問題なく得ることができます。

 

しかし、うつ病の原因が会社にあったことを認めれば労働基準監督署から「是正勧告」を受けるだけでなく、うつ病となった社員から損害賠償を請求される可能性もあることから、会社は原因が会社にあったことを認めたがりません。

 

労災の認定そのものは会社の協力の有無にかかわらず労働基準監督署が行いますが、会社の証明が得られない場合は事実関係の調査に時間がかかることになります。

 

ただでさえ労災の認定には時間がかかるのに、会社の協力が得られないと余計に時間がかかってしまいます。

 

そして充分な証拠が得られなければ労災の認定はおりません。

 

それではどうしたら労災の認定が得られ易くなるでしょうか ?

次に労災の認定を得るための対策について解説します。

 

うつ病で労災認定を得るための対策

うつ病で労災認定を得るには客観的証拠が大切です。

 

典型的な2つのケースについて証拠となるものをあげておきます。

 

長時間労働でうつ病になった場合

うつ病が長時間労働による場合は比較的証拠をそろえるのが簡単です。

勤務時間表の写しを取っておくのです。

 

普段から勤務時間表を会社に提出する前に写しを摂る習慣のある人は良いですが、手元に写しがない場合は総務にお願いして写しをもらうと良いでしょう。

 

その際は

「ここ1年位の自分の勤務状況を確認しておきたいので写しをもらえますか?」

と申し入れます。

 

もしも総務の担当者が警戒して写しをくれない場合は、給与明細書が代わりになります。

一般的に明細書には残業時間と休日出勤日数が記載されますから、長時間労働の証拠とすることができます。

 

 

うつ病がパワハラなどによる場合

うつ病の原因がパワハラやセクハラであるケースは非常に多いと言われています。

 

じつはこの場合の証拠をそろえるのはなかなか難しいのです。

 

日記のように、日々上司に言われたこと怒鳴られたことなど理不尽な扱いを受けたことをノートなどに書いておくと証拠となります。

 

スマホのボイスレコーダー機能を使って上司との打ち合わせを録音しておくことも有力な証拠となるでしょう。

 

いつからパワハラが始まったかも記録があることが望ましいですよ。

 

 

おわりに

いかがでしたか ?

 

うつ病で労災と認定されることが難しいこと、そして対策についてお伝えしてきましたが、参考になりましたで ?

 

労災は認定基準が厳しいだけでなく、時間もかかります。

 

ですが、一旦労災が認定されると、その病気が治癒するまで休業保障を受けることができるという心強い制度なのです。

 

また、一度認定が退けられると同じ病気で申請をリトライしても認定される確率は非常に低くなります。

 

だからこそ、労災を申請する際には証拠を揃えてしっかりと準備することが大事なのです。

万全を期すために社労士さんに相談するのも有効ですよ。

 

最後までお読みくださってありがとうございました。